一ノ瀬志希「ほころび」
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99:名無しNIPPER[saga]
2019/04/29(月) 01:19:38.27 ID:SYS+AFC90
 あたしがチョビッと広げ、夕美ちゃんが手直ししてくれた穴に、二人でピンクのキンモクセイを植えた。
 文句なしの『大胆』を彼女に想起させるほどのドギツい真っピンクが保たれているかどうかは、暗くて分からない。

「はぁ……ちょっと、休もっか」
「そうだね」
以下略 AAS



100:名無しNIPPER[saga]
2019/04/29(月) 01:22:10.36 ID:SYS+AFC90
 夕美ちゃんは、どこか困ったように、視線を外した。


「うーん……」

以下略 AAS



101:名無しNIPPER[saga]
2019/04/29(月) 01:28:07.50 ID:SYS+AFC90
 無理矢理夕美ちゃんの手に一本持たせて、あたしはプルタブに指を掛けた。

 プシュッと開けると、うわっ。

 あ、そっか、炭酸だもんね。
以下略 AAS



102:名無しNIPPER[saga]
2019/04/29(月) 01:33:12.73 ID:SYS+AFC90
 彼女の方を直視することなく、澄み渡る夜空にあたしの笑い声を無理矢理に溶かしていく。

 全部全部、何もかも忘れさせてやりたかった。
 夕美ちゃんの思考も。今回のことで、怒ったり悲しんだりした人の思考も。

以下略 AAS



103:名無しNIPPER[saga]
2019/04/29(月) 01:37:14.50 ID:SYS+AFC90
「……いや、優しいっていうか、あたしのワガママなんだけど」

 やっぱり夕美ちゃんは分かってないなぁ。

「あたしがそうしたいからそうするの。
以下略 AAS



104:名無しNIPPER[saga]
2019/04/29(月) 01:39:35.34 ID:SYS+AFC90
「ん? ううん、むしろ笑っちゃう」

「じゃあ、「ごめんね、一緒に住めない」って言ったら、どう?」
「事情にもよるけど、まぁそうかーってカンジかにゃ?
 気持ちは分かるからねー、あたしが言うのもなんだけど」
以下略 AAS



105:名無しNIPPER[saga]
2019/04/29(月) 01:41:54.51 ID:SYS+AFC90
「にゃははは、思い通りにならない事なんてケミストやってりゃ日常茶飯事だからねー♪」

 全てが二つに一つだった。
 予測通りに行くか、行かないか。白か黒でしかないのだ。

以下略 AAS



106:名無しNIPPER[saga]
2019/04/29(月) 01:45:23.63 ID:SYS+AFC90
 ビールを一口飲んだせいか、寒空の下にも関わらず、体の芯がボゥッと熱っぽい。
 次の瞬間、あたしはたぶん、ありったけの怒りをこの子にぶつけてしまう。


「聞いたよ。あの子が不倫騒動をでっち上げようとしてたの、夕美ちゃん、事前に聞かされてたんでしょ?
以下略 AAS



107:名無しNIPPER[saga]
2019/04/29(月) 01:48:20.97 ID:SYS+AFC90
「たとえそうだとしても……たぶん、あたしを見て、悲しい、嫌な気分になっちゃう人も、いると思うから。
 真実がどうっていうより、イメージが大事だと思うの。
 アイドルって、お客さんを楽しませるのが仕事だから、余計に。
 気分を悪くする人がいるなら…」

以下略 AAS



108:名無しNIPPER[saga]
2019/04/29(月) 01:52:39.38 ID:SYS+AFC90
 夕美ちゃんの声は、あたしの乱暴で不細工な声とは違って、どこまでも穏やかだった。

「オーディションもいっぱい落ちて、だけどプロデューサーさんと一緒に、何度も励まし合いながらお互いに頑張って、それでも一向に芽を出せなくて……
 そんな時に、志希ちゃんのパートナーとしてスカウトされたあたしが、あっさりステージに立っちゃった。
 自分に容姿が似ている子が……大して違いもしないのに」
以下略 AAS



109:名無しNIPPER[saga]
2019/04/29(月) 01:55:49.47 ID:SYS+AFC90
「夕美ちゃんのお花の先生と?」
「お母さんから、聞いたの?」
「大体ね」

「その先生はもう、私のクラスの担任じゃなくなってたんだけどね」
以下略 AAS



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