35: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 22:56:38.57 ID:8+PeY8Rzo
聞き返せないうちに、今度は司会のアナウンス。
『いやー、ライブは盛り上がるばかりですね! それでは、次のアイドルに登場してもらいましょう! どうぞ!!』
36: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 22:58:29.32 ID:8+PeY8Rzo
心はガチガチに緊張している。だけど頭は以外と冷静で、
薄暗くて観客がよく見えないなぁとか、あ、みんなサイリウム持ってくれてるとか、そういうとりとめのないことがよぎる。
それでも、練習していたとおりのスピーチはスラスラ口から出てきた。
37: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 23:01:04.58 ID:8+PeY8Rzo
*
曲が終わって、大きくお辞儀をして、少し間を置いてパラパラと、それからだんだんと大きくなっていく拍手を背に、蓮実はステージを後にする。
最終的には拍手も歓声もそれなりに頂けたし、初舞台としては及第点じゃないかな、と自分の中でぼんやりと考えていた。
38: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 23:02:16.96 ID:8+PeY8Rzo
「一応、長富は真剣だったんだけどな」
「え、そうなの? てっきりネタでやってるのかと……」
「……そっか。 分かんなかったか」
39: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 23:03:42.49 ID:8+PeY8Rzo
「ま、上に伝えとくわ」
「悪いね! 346さんには普段からお世話になってるからこそ、なんだよ」
「分かった、分かった」
「んなワケで、その、またよろしくお願いしますね! あはは……」
40: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 23:04:54.89 ID:8+PeY8Rzo
*
二人して無言で現場を後にする中、蓮実の表情はいっそう暗かった。
オーディションでも馬鹿にされ、苦難の中ようやく憧れの清純派としてアイドルになれたと思ったのに、待ち受けていたのはさらなる苦難。
41: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 23:06:03.62 ID:8+PeY8Rzo
「謝らないで下さい。 私が憧れに固執しすぎなのが悪いんです。 ただ私は、それも覚悟の上でアイドルになると決めたんです……
例え報われなくとも、私は私のやり方を貫きたいんです。 だから……」
「いや、俺が『すまない』って言ったのはそういうことじゃない」
「え?」
42: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 23:08:19.30 ID:8+PeY8Rzo
*
「ああいう頭の固い連中と仕事をするのは面倒くさいねぇ」
43: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 23:13:44.35 ID:8+PeY8Rzo
──────
180:青い風吹けば名無し
……5人目は、永富(字違うかも)蓮実ちゃんって子
44: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 23:18:25.67 ID:8+PeY8Rzo
「えっと、これは……?」
「まあ簡単に言えばな、オールドファッションな変わり者のアイドルがいたとは言われてるけど、その実好評ってワケだ」
長文の感想を何度か読み返すうち、いくらかは褒められているんだと言うことをじわじわ実感していく。
45: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 23:21:22.31 ID:8+PeY8Rzo
「今の時代、清純派を貫くっていうのはこういう事だ。
お前みたいなアイドルがコツコツ積み上げても日の目を見るには普通より時間がかかる……なんせ一度廃れちまったスタイルなんだからな」
「……それは、分かります」
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