37: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 23:01:04.58 ID:8+PeY8Rzo
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曲が終わって、大きくお辞儀をして、少し間を置いてパラパラと、それからだんだんと大きくなっていく拍手を背に、蓮実はステージを後にする。
最終的には拍手も歓声もそれなりに頂けたし、初舞台としては及第点じゃないかな、と自分の中でぼんやりと考えていた。
控え室へ戻って着替えを済ませ、プロデューサーを探そうと薄暗いライブハウスの廊下をウロウロ歩いていると、
角を曲がったところでプロデューサーらしい人影を見つけた。
「あの、どうでした…………」
向こうがこちらに気づく前に、反対側からやって来たスタッフの男がプロデューサーに話しかけた。
プロデューサーの意識もそちらに持って行かれてしまったようだ。
「あー、ちょっとごめんね346サン」
「ん? どしたの」
反射的にその場に立ち止まり、
「いやさ、今日来てくれた子……長富さん? だっけ?」
数歩下がって、曲がり角の壁に手をかけ、
「……申し訳ないんだけど、次回からはああいうのはちょっと……」
スッと壁の向こうに身を隠す。
ひんやりした壁を背中に受けながら、足先から膝までどっぷりと、鉛のような鈍さを感じた気がした。
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