35: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 22:56:38.57 ID:8+PeY8Rzo
聞き返せないうちに、今度は司会のアナウンス。
『いやー、ライブは盛り上がるばかりですね! それでは、次のアイドルに登場してもらいましょう! どうぞ!!』
「……気にせずやりたいことをやれ、ってことだよ」
「……は、はい!」
「長富蓮実を見せつけてやれ」
ポンと背中を叩かれた。妙な疑問は全て吹き飛んで、キュッと意識を集中させると視界が少し狭くなる気がした。
目に入ってくるのはステージのど真ん中、指定された自分の立ち位置。ここから10mほどの距離だ。
「行ってきます!」
飛び出すように走り出して、スポットライトの下へ躍り出た。
専用にあつらえてもらった今日のための衣装――
ショッキングピンクの袖口とラインが映える黄色のジャケットに、フリルのついたスカート。カチューシャは大きなリボンが一つ。
何度も何度もイメトレを重ねた最初の挨拶の台詞を、観客席のむこうへ元気よく放り出した。
「みなさん、初めまして! もぎたてフレッシュ、長富蓮実。 16歳です!」
――あ、ステージって、こんなに明るいんだ。
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