41: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 23:06:03.62 ID:8+PeY8Rzo
「謝らないで下さい。 私が憧れに固執しすぎなのが悪いんです。 ただ私は、それも覚悟の上でアイドルになると決めたんです……
例え報われなくとも、私は私のやり方を貫きたいんです。 だから……」
「いや、俺が『すまない』って言ったのはそういうことじゃない」
「え?」
想定外の答え。
彼の言わんとする意味を懸命に理解しようとする蓮実を待たずして、プロデューサーは続けた。
「今時、ド新人のアイドルが『古き良き清純派を目指して頑張ります』なんて言ったところで、
こうやって大して受け入れられない状況だっていうのを突きつけたのは――俺だ」
「どういう……?」
「お前は普通のアイドルじゃない。お前が目指す『清純派の復活』が普通より難しいことなんだって、一度知ってもらいたかった」
素っ頓狂な反応を無視して言葉を重ねるプロデューサーを、蓮実は顔を上げて、この帰り道で初めて見つめてみる。
「今までの、全部わざとだったの」
冗談めいた台詞。それとは全く不似合いなほど、その表情には、蓮実にスカウトを持ちかけたあのときと同じ、情熱を帯びた瞳をしたがえていた。
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