12: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 22:19:24.37 ID:8+PeY8Rzo
春の346プロダクション。
アイドル部門はこの日、また新たな一員を迎える。
「受付から連絡来ました。今エレベーターに乗ってると」
13: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 22:21:36.11 ID:8+PeY8Rzo
「は、はじめまして」
蓮実は一礼をして、促されたまま用意されていた席に着いた。
14: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 22:23:35.87 ID:8+PeY8Rzo
「あっ、申し遅れました。 私、346プロダクションの事務を担当しております千川ちひろです。よろしくお願いしますね」
「千川さん……はい、よろしくお願いします」
「私はプロデューサーさんみたいに直接蓮実ちゃんのお世話をさせていただくわけではないですけど、
これからのアイドル活動のサポートを全力で行いますからね」
15: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 22:24:34.24 ID:8+PeY8Rzo
*
「……趣味は古着屋巡りに、ボウリング……? マイボールまで持ってるんですね! すごい!」
「いえ、たしなむ程度ですので……」
16: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 22:26:31.25 ID:8+PeY8Rzo
「いや、だって、ミーティングって言いましたよね?」
「コミュニケーションは大事だろ。 堅い話ばっかりじゃ疲れるし、なあ?」
まぁ、そうですね――と一応肯定しておく。
17: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 22:29:29.42 ID:8+PeY8Rzo
「そりゃもう、みんな個性的な奴らばっかりだぜ」
「……はい」
「プロデューサーさん、いったい何が言いたいんです?」
18: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 22:31:13.77 ID:8+PeY8Rzo
「私は、自分のように遠い昔の清純派を好きで、本気で憧れているような、私みたいなアイドルは他にいないと思っています。
今時受けは悪いとしても、それが自分の最大の強みです」
「……うん」
「だから、私に求められているのは――きっと、同じように清純派を愛する人たちへのメッセージになること。
19: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 22:34:05.35 ID:8+PeY8Rzo
「……OK。それが今の長富の答えってワケだ」
「……ダメだったでしょうか」
「うんにゃ、そんなことないよ。 まだまだ腹割って話しにくいところもあるだろうしな。 ありがとう」
20: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 22:36:00.00 ID:8+PeY8Rzo
「……ちょっと、難しいお話ですね」
イメージしたとおりのステージ――そう聞くと、蓮実がかつて数え切れないほど想像してきた伝説たちのきらめく光景が瞳の奥によみがえる。
当然、今の自分はあれほどの喝采を浴びるには足りないけれど、先へ進むにはやるしかない。
21: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 22:37:05.41 ID:8+PeY8Rzo
*
「……うん。 発声はまだまだ練習しないとだけど、音程はきっちりとれてますね」
「本当ですか? ありがとうございます♪」
22: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 22:38:20.60 ID:8+PeY8Rzo
……数分後、やはりというか結局夢中になってしばらく話し込んだところでハッと我に返る。
「すみません、私語り出すと止まらなくて、つい……」
「いいのいいの。 ……そうだ、今回の課題曲とは違うけど、なにか歌ってみてくれない?」
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