13: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 22:21:36.11 ID:8+PeY8Rzo
「は、はじめまして」
蓮実は一礼をして、促されたまま用意されていた席に着いた。
「おう、よく来てくれたね」
「あ、プロデューサーさん……あの、この間はありがとうございました!」
「なんのなんの」
プロデューサーと呼ばれたこの男が、オーディション会場で結果を出せずうなだれる蓮実を見つけ、
その場で彼女をスカウトしたのはほんの一週間前の出来事である。
対面の席に座り、目の前で緊張の面持ちを隠せない少女と裏腹に、ずいぶん落ち着いた様子で彼女を迎え入れた。
「それにしても、プロデューサーさん自らスカウトなんて珍しいですね。普段はあまりそういうことされないのに」
「そんなことないよ。スカウトはするさ、欲しい子がいれば」
「……いえ、私をスカウトして下さって、本当にありがとうございます。これだけは、改めてきちんとお礼を言っておきたかったんです」
改めて深く頭を下げる蓮実。
「……そ。 どういたしまして」
プロデューサーは素っ気なく返事をするが、その表情はにこやかさを含んでいる。
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