12: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 22:19:24.37 ID:8+PeY8Rzo
春の346プロダクション。
アイドル部門はこの日、また新たな一員を迎える。
「受付から連絡来ました。今エレベーターに乗ってると」
「わかった」
“アイドル”という長く短い歴史の中で、既に見捨てられつつある一つの生き様。
この時代にたった一人しかいないであろう逸材は、その生き様に自らの使命を見いだし、逆風吹き荒ぶこと覚悟の上、この道を選んだという。
その道を照らすのは、『復活』という一つの希望。
時代の埃を被った夢を愛する者たちにとっての一つの希望。
「もうすぐ来ますよ」
「……うし。時間通り」
事務室へと続く、短く長い廊下を一歩一歩、かすかに震える足取りで進むその少女は、
大きな花柄をあしらった真っ白なワンピースに、太めのベルトのアクセント。
ワンピースとお揃いのカチューシャで、ふわりと巻いたミディアムヘアを飾っていた。
時代錯誤と言っても差し支えないそのファッションが、彼女の人となりを一目で表しているようにも見える。
「ここかな……?」
今か今かと室内で待ち構える二人を焦らし始めてほどなく、控えめなノック音を二回響かせたのち、
「……どうぞ、お入りください!」
「し、失礼します……」
少女はおそるおそる扉を開いていった。
「こんにちは、初めまして。 ようこそ346プロへ――」
「長富蓮実さん」
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