17: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 22:29:29.42 ID:8+PeY8Rzo
「そりゃもう、みんな個性的な奴らばっかりだぜ」
「……はい」
「プロデューサーさん、いったい何が言いたいんです?」
彼の問いたいことは蓮実にはなんとなく察しがついた。
今やアイドルとは個性の時代だ。業界全体だけでなく同じ事務所内であってもこれだけの競争相手がいる中で、
自分を売り出すにはどうすれば良いか考えろ、ということなのかも知れない。
――自分は、古くさくありきたりで不器用な人間だから。
「君がここに来た理由……アイドルになりたい理由、どんなアイドルになりたいか、それは初めて会ったときに聞いた」
「……はい」
「もう一度、改めて話をしようと思うんだけど。 『清純派アイドルの復活』って一口に言っても、色んな形があるわけだ」
プロデューサーはほんの少し軽い先ほどまでの口調をあくまで保ったまま、飄々と続けた。
「長富はアイドルになって、その後どうしたい?」
彼の質問はすぐさま答えるには少し難しい。
蓮実はアイドルになったばかりの――否、これからなろうとすることが決まっただけの卵。
普通ならば、こうしてデビュー前のアイドル候補生に対してこんな問いを投げても、その場できっぱり言い切れるのは稀かも知れない。
「私は……」
その問いに対する答えを一つだけ持っているということを、プロデューサーが見越しているかどうかはともかく。
頭の中でゆっくりと言葉を整えながら、蓮実は少しずつ語った。
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