25: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2018/11/03(土) 19:31:20.54 ID:1iL2fWn50
時子「フン、せいぜい、自由なこの時間を満喫しておくことね。イブが過ぎたら、ゆっくりとしつけてあげる」
苛立ちをぶつけるように残したその言葉が、廊下に響く。
26: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:32:23.29 ID:1iL2fWn50
時間の流れが速い。
公演までは二ヶ月を切っている。それなのに、私は――
27: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:33:27.04 ID:1iL2fWn50
――このくらいできないでどうする。
――財前の娘だろう。
28: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:34:21.55 ID:1iL2fWn50
不意に、背後から声がかけられた。
時子「……何かしら」
29: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:35:53.43 ID:1iL2fWn50
時子「……よく知っているのね」
まゆ「はい。クリスマスのイベントで、時子さんの前にステージに立っているのがまゆなんです。もしかすると、少しだけでも、一緒にステージに立てるかもしれないですね」
30: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:36:42.75 ID:1iL2fWn50
口に出ていたとわかったときは、しまった、と思った。
彼女の笑みが凍り付くのが傍目にわかった。
31: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:37:54.96 ID:1iL2fWn50
時子「……私が彼女にひどいことを言ってしまったのよ。悪かったわね」
告げ口をするような人間でもないだろうが、問題は早々に解決した方が良い。彼女は恐らく、年下とは言え先輩だ。共演もあり得るのなら、下手な波風を立てるのは得策ではない。
32: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:38:52.22 ID:1iL2fWn50
P「スカウトした自分が言うのも何ですけど、もしも無理そうなら、遠慮せずに自分に言ってください。デビューは必ずその日でないといけないわけではないですし、まだ調整もききます」
時子「何を……っ、豚の分際で見くびらないでくれるかしら。私は――、」
33: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:40:02.40 ID:1iL2fWn50
時子「それであなたに、何か不都合があるのかしら?」
まゆ「あります」
34: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:40:45.16 ID:1iL2fWn50
ちひろ「どうですか、時子ちゃん。実物を目にすると、アイドルになる実感がわくんじゃないですか?」
まゆとの邂逅から三週間が経ち、イベントも一ヶ月後に迫ってきた。
35: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:41:49.73 ID:1iL2fWn50
いくら安物でも、そう言われるとどうしてか悪い気はしなかった。
だが当然、どうして、という疑問もわいてくる。そういう質問を気軽にできないのが、自分の性格の嫌なところだった。
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