35: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:41:49.73 ID:1iL2fWn50
いくら安物でも、そう言われるとどうしてか悪い気はしなかった。
だが当然、どうして、という疑問もわいてくる。そういう質問を気軽にできないのが、自分の性格の嫌なところだった。
ちひろ「やっぱりクリスマスにデビューですし、それに初めての衣装って、やっぱり大切なものだから……ちゃんと残るものにしたいじゃないですか」
衣装箱に入れられた小物を取り出して検品しながら、ちひろはそう呟く。その背中は楽しそうに弾んではいるが、その声色は僅かに暗い。
ちひろ「着てみてください、きっと似合うはずですよ。なんたって、あのプロデューサーさんもデザインに協力してくださってますから」
時子「貴方の服をデザインしたあれが……? それを聞いて余計に不安になったわ……」
だが実際に袖を通してみると、想像していたよりもずっと動きやすい作りだった。おそらくこれも、機能性を確保するために随所に工夫が凝らしてあるのだろう。
事務員に視線で感想を求められたが、鼻を鳴らして一蹴しておいた。
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