21: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:25:51.12 ID:1iL2fWn50
――寮にしてはやけに広い廊下。凝った装飾。
ここにいるのが夢を売るアイドルだとわかりきっているからこその、金の使い方だろう。
22: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:27:26.53 ID:1iL2fWn50
初仕事の詳細が決まった。
12月24日のクリスマスイブ。数億の金が動く、あまりに大きな舞台だ。詳細が明かされてから、私以外のアイドルたちも背筋が伸びているようだった。
23: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:28:53.33 ID:1iL2fWn50
時子「チッ、気にくわないわね」
P「なにかご不満がありましたか?」
24: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:30:12.02 ID:1iL2fWn50
時子「……あのとき、なぜ声をかけたの。貴方ごときに扱えるような女じゃないことくらい、わからなかったのかしら」
P「まあ、毛色は違いますね」
25: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2018/11/03(土) 19:31:20.54 ID:1iL2fWn50
時子「フン、せいぜい、自由なこの時間を満喫しておくことね。イブが過ぎたら、ゆっくりとしつけてあげる」
苛立ちをぶつけるように残したその言葉が、廊下に響く。
26: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:32:23.29 ID:1iL2fWn50
時間の流れが速い。
公演までは二ヶ月を切っている。それなのに、私は――
27: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:33:27.04 ID:1iL2fWn50
――このくらいできないでどうする。
――財前の娘だろう。
28: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:34:21.55 ID:1iL2fWn50
不意に、背後から声がかけられた。
時子「……何かしら」
29: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:35:53.43 ID:1iL2fWn50
時子「……よく知っているのね」
まゆ「はい。クリスマスのイベントで、時子さんの前にステージに立っているのがまゆなんです。もしかすると、少しだけでも、一緒にステージに立てるかもしれないですね」
30: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:36:42.75 ID:1iL2fWn50
口に出ていたとわかったときは、しまった、と思った。
彼女の笑みが凍り付くのが傍目にわかった。
31: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:37:54.96 ID:1iL2fWn50
時子「……私が彼女にひどいことを言ってしまったのよ。悪かったわね」
告げ口をするような人間でもないだろうが、問題は早々に解決した方が良い。彼女は恐らく、年下とは言え先輩だ。共演もあり得るのなら、下手な波風を立てるのは得策ではない。
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