32: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:38:52.22 ID:1iL2fWn50
P「スカウトした自分が言うのも何ですけど、もしも無理そうなら、遠慮せずに自分に言ってください。デビューは必ずその日でないといけないわけではないですし、まだ調整もききます」
時子「何を……っ、豚の分際で見くびらないでくれるかしら。私は――、」
33: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:40:02.40 ID:1iL2fWn50
時子「それであなたに、何か不都合があるのかしら?」
まゆ「あります」
34: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:40:45.16 ID:1iL2fWn50
ちひろ「どうですか、時子ちゃん。実物を目にすると、アイドルになる実感がわくんじゃないですか?」
まゆとの邂逅から三週間が経ち、イベントも一ヶ月後に迫ってきた。
35: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:41:49.73 ID:1iL2fWn50
いくら安物でも、そう言われるとどうしてか悪い気はしなかった。
だが当然、どうして、という疑問もわいてくる。そういう質問を気軽にできないのが、自分の性格の嫌なところだった。
36: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:42:40.66 ID:1iL2fWn50
姿見に映った自分の姿を見ると、自分が自分でない錯覚さえ抱く。
ちひろ「着てみると、やっぱり時子ちゃん綺麗ですね。アイドルになった感じ、ありますね」
37: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:43:33.73 ID:1iL2fWn50
鏡に映った、自分の像。
今までとは違う自分。
38: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:45:45.55 ID:1iL2fWn50
突として、痛いほどの静寂が広がった。
時子「――は?」
39:名無しNIPPER[sage]
2018/11/03(土) 19:46:23.07 ID:yPO1HskWo
このやり手っぽいP見たことあるな
前にkwsmさんのSS書いた?
40: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:47:16.34 ID:1iL2fWn50
――
初めてハイヒールを履いた日のことは、鮮明に覚えている。
僅か12歳の頃だ。童話に出てくるような、赤い靴だった。
41: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:51:40.88 ID:1iL2fWn50
トレーナー「財前! 昨日言ったことがまたできていないぞ。遅れている。うまくやろうとしなくていい、自然にやるんだ」
42: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:52:52.64 ID:1iL2fWn50
時子「……」
何も言わずに部屋を出た私を、トレーナーは呆れたように見送っていた。
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