42: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:52:52.64 ID:1iL2fWn50
時子「……」
何も言わずに部屋を出た私を、トレーナーは呆れたように見送っていた。
トレーニングルームを出て当てが在るわけではないが、あの場所にはいたくなかった。
……家を出たときもそうだった。
これ以上あの空間にいれば何かが壊れてしまいそうで、それが怖くなってあの家から距離をとったのだ。
時子「……どうして、私が」
こんな惨めな思いをしなければならないのか。
どこかすぐ近くで、誰かのレッスンの音が聞こえる。ハイヒールの踵が、フローリングを叩く音がする。
軽い音だ。そして、テンポの揃っていないばらばらな音。
時子「……全然、音楽になってない――」
覗き込んだルームから見えたのは、あのアイドルだった。
時子「佐久間、まゆ……」
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