18: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/06/11(月) 20:17:20.79 ID:4HE2LzfA0
===
――後悔、そして自己嫌悪。私ったら、どうしてあんなことを言ってしまったのか。
『……歌織さん、もしかして怒ってます?』
19: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/06/11(月) 20:18:55.62 ID:4HE2LzfA0
『翼! さっきの約束、覚えとくぞ』
扉が閉まるその時まで、こちらを向いていた少女の笑顔がまざまざと蘇って寝返りをうつ。
20: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/06/11(月) 20:21:21.82 ID:4HE2LzfA0
「んー……。起きてる」
「ならベッドの上から降りなさいな。
そういうのを、世間じゃまだ寝てるって言うんでしょ」
21: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/06/11(月) 20:23:13.97 ID:4HE2LzfA0
そんなことを頭の隅で思いながら、
今日着ていくための服を選び、姿見の前で袖を通す。
……髪型は、どうしようかな? 普段と同じじゃ少し不安。
22: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/06/11(月) 20:25:19.97 ID:4HE2LzfA0
「私も老けるワケだわね」
――将来は私も母のように、自分の娘へ語りかける時が来るのでしょうか。
23: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/06/11(月) 20:27:05.74 ID:4HE2LzfA0
顔を洗いに行く途中で母と別れ、
私は洗面台のボウルにぬるま湯を張り終えると手を浸す。
冬の寒さに心地いい感触。
24: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/06/11(月) 20:29:32.86 ID:4HE2LzfA0
「もしかして、私だけ先にお昼ご飯?」
「ダイエットしてるならそれでもいいけど。コーヒーにする? それとも紅茶?」
25: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/06/11(月) 20:31:40.51 ID:4HE2LzfA0
「さっきはお休みだって言ってただろう?」
「そうだけど、そうじゃなくて」
26: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/06/11(月) 20:34:04.35 ID:4HE2LzfA0
「お父さんがお休みの日の夜には、家族揃って夕食を食べるのがウチのルールだ。
その為にも私だって予定を空けているのに」
不満な面持ちを隠そうともせずにカップを持ち上げた彼は言います。
27: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/06/11(月) 20:37:25.95 ID:4HE2LzfA0
私の返事に、溜め息。
父は釈然としない気持ちを飲み込むようにコーヒーカップに口をつけて
28: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/06/11(月) 20:40:41.87 ID:4HE2LzfA0
「お父さんを泣かせるようなことしちゃあダメよ」
母の放ったその言葉で、不意に環ちゃんの笑顔が浮かびました。
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