19: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/06/11(月) 20:18:55.62 ID:4HE2LzfA0
『翼! さっきの約束、覚えとくぞ』
扉が閉まるその時まで、こちらを向いていた少女の笑顔がまざまざと蘇って寝返りをうつ。
とっくに意識は覚めてるのに、瞑った瞼を開けたくない。
ベッドの上は心地いいのに、心の中はモヤモヤする。
私ったら、あんな子供に嫉妬してる。
……いいえ違うわ! 悪いのは彼女よりあの人の態度だもの。
まだ本当の恋も知らないような子をたぶらかして、全くなんて卑劣な人!
――そう思えば、なんだか元気が湧いてきます。
両目をゆっくりと開いたなら、枕元の時計を手に取って
「……起きなきゃ」
けれども、私が体を起こすより先に自室の扉が開かれました。
ドアノブを握り、無遠慮に顔を覗かせるのは母です。
「歌織、アナタいつまで寝てるの?」
次いでコンコン、と扉を手で叩く。
ノックをするのが遅すぎるわ――なんて愚痴の代わりに返したのは。
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