25: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/06/11(月) 20:31:40.51 ID:4HE2LzfA0
「さっきはお休みだって言ってただろう?」
「そうだけど、そうじゃなくて」
パンを齧って返事を濁しながら、私は説明要らずの母にも困るけれど、
父もそれと同じぐらいには面倒よね――なんて。
「次のお仕事の為に下見をしなくちゃいけないのよ。予定の合う日が今日しか無くて」
そうしてすぐに思い出します。
丁度やって来た母からミルクティーを受け取ったら、
私はなるべく父とは目を合わせないようにしつつ。
「お母さん。忘れてたけど今日のお昼は外で食べるわ。……もしかすると、夜ご飯も」
母は父の前にコーヒーを置くと、その隣に自分の分のカップを並べ。
「あらそうなの」
「うん」
「じゃあ、どっちになっても連絡だけは忘れないで」
持っていたお盆もテーブルに置いたなら、眉一つ動かさずに父の座ってる隣へと。
そんな素知らぬ振りの母とは違い、父は慌てた様に持っていた新聞を畳んだなら。
「待て待て、お前たちちょっと待ちなさい」
眉をひそめ、肩を張って、ソファに深く座り直す。
その手はコーヒーに伸びているけど、視線は私に固定して一ミリだって動かさない。
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