白菊ほたる『災いの子』
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116:名無しNIPPER[sage]
2018/06/05(火) 10:20:32.18 ID:FE+vipXDO
元気でいるか
友達できたか
さみしくないか
お金はあるか


117: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/06/10(日) 18:36:51.28 ID:AfpWDvGb0
   09.

 建物に入ると、遠くのほうからざわざわと人の声が聞こえた。
 プロデューサーさんのあとについて進むと、だんだんと喧騒が大きくなり、スタッフさんたちが忙しく駆け回る姿が見えてくる。
 いたるところに、なにに使うのかわからない機材が雑多に積まれていて、床はコード類が駆け巡っている。埃っぽくて、火薬みたいな匂いがした。どこかテレビ局のセット裏に似ている。
以下略 AAS



118: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/06/10(日) 18:38:29.19 ID:AfpWDvGb0
 メイクさんもまだ来ていないだろうし、着替えるにしても、いくらなんでもまだ早い。
 なにをしてようかな、と悩んでいるところに、コンコンとノックの音が届く。
「どうぞ」と答えると、大きいサングラスをかけた、長い黒髪の女性が入って来た。
 てっきりプロデューサーさんだとばかり思っていた私は、びっくりして言葉を失った。
 誰だろう? スタッフさんには見えないけど……
以下略 AAS



119: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/06/10(日) 18:39:40.41 ID:AfpWDvGb0
「ああ、アレね。そいえば、うちの公式サイトの今日のライブ情報に、『天気予報にかかわらず傘の持参を推奨します』とか書いてあったの、あれほたるちゃんが言ったん?」

「え? あ、はい。私が関わると、天気が崩れやすいので……」

 それはたしかに私が進言したことだった。だけど、どうして今その話が出るんだろう。
以下略 AAS



120: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/06/10(日) 18:40:55.06 ID:AfpWDvGb0
「ところで、志希ちゃんは迷惑かけてない?」と周子さんが言った。

 志希さんは、その頭脳やアイドルとしての実力とは別に、奇行で有名なところがある。事務所でたびたび怪しい化学実験をして、問題を起こしているという噂も聞く。たぶん、その心配をしているんだろう。

「えっと、合同レッスンに来ないことはありましたけど、特に迷惑ということは……」
以下略 AAS



121: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/06/10(日) 18:42:20.06 ID:AfpWDvGb0
 周子さんがお茶をひとすすりし、ほうっと息をついた。

「……志希ちゃんは、アタマがよすぎるからなのか、なんなのか知らないけど、ふつうの人じゃ見えないもんまで見えちゃうんだよ。嫌でも。てゆーか嫌だろうね」

「嫌、ですか?」
以下略 AAS



122: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/06/10(日) 18:43:29.64 ID:AfpWDvGb0
 それから周子さんの提案で衣装のチェックをした。周子さんが言うには、こういった場合に使うはずの小物が足りなかったり、他の人のところに紛れ込んでいたりするのは珍しくないらしい。
 幸いにも、今回はそういったアクシデントはないようだった。

「すみません、気が付きませんでした」

以下略 AAS



123: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/06/10(日) 18:46:35.75 ID:AfpWDvGb0
   *

「想定が甘かったな、こういうこともあるのか」

 プロデューサーさんがつぶやく。
以下略 AAS



124: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/06/10(日) 18:47:53.97 ID:AfpWDvGb0
 つい昨日リハーサルで立っていたはずなのに、そこはまるで別の世界のようだった。

 中央に立った私をスポットライトが照らし出し、大きな歓声があがる。
 私にではなく、桜舞姫に、本来であれば周子さんに向けた歓声だということはわかっている。それでも、脚がすくんでしまいそうになった。
 首筋にライトの熱さを感じる。ステージがまぶしすぎて目がくらみ、客席はあまりよく見えない。だけどホールを埋め尽くす生命の気配とでもいうのか、大勢のお客さんが詰めかけていることはわかった。
以下略 AAS



125: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/06/10(日) 18:49:44.91 ID:AfpWDvGb0
 最初の曲が終わり、拍手と歓声が湧き上がる。
 これを私が起こしているのだという、えもしれぬ感動がこみ上げた。

 ステージは、怖いくらいに順調に進んだ。足をすべらせることもなく、床が抜けることもなく、上空からなにかが落下してくることもない。

以下略 AAS



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