白菊ほたる『災いの子』
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126: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/06/10(日) 18:51:08.31 ID:AfpWDvGb0
   *

「ありがとうございました」と言って客席に手を振り、ステージをあとにする。

 舞台袖にいたプロデューサーさんに駆け寄り、「夕美さんたちは?」と訊ねる。
以下略 AAS



127: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/06/10(日) 18:52:34.71 ID:AfpWDvGb0
「一ノ瀬さん、こちらへ」

 プロデューサーさんが志希さんを控室に誘導する。

 私は、すっかり安心しきって、油断していた。
以下略 AAS



128: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/06/10(日) 18:54:36.86 ID:AfpWDvGb0
 志希さんの準備は手早く、着付けもメイクも5分ほどで終えてきた。
 私の出番が終わってからはおよそ20分ほど経っていて、客席はざわつき始めている。

 控室を出てステージに向かう志希さんを、遠目から盗み見る。あんなことがあった直後に舞台に上がれるものだろうかと、不安に思った。

以下略 AAS



129: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/06/10(日) 18:56:12.22 ID:AfpWDvGb0
 再びひとりきりになった控室で、私はふらふらと鏡の前に立った。
 辛気くさいと、暗いと言われ続けてきた真っ白い顔が、私を見返していた。
 なるほど、これは辛気くさいと言われても仕方ない。まるで死人のような顔色だった。

 鏡の中の自分が、これは全てお前のせいだと言っているように思えた。
以下略 AAS



130: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/06/10(日) 18:57:27.06 ID:AfpWDvGb0
 それからどのくらい時間が経ったろう。ドアが開かれ、通路の光が薄く差し込んだ。

「あらら大惨事。ほたるちゃん無事?」

 志希さんの声だった。ステージが終わったんだろう。
以下略 AAS



131: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/06/10(日) 18:59:27.81 ID:AfpWDvGb0
「……プロデューサーさん?」

 私の声は弱々しく、かすれていた。

「本当だよ」
以下略 AAS



132: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/06/10(日) 19:01:06.81 ID:AfpWDvGb0
 私はどうしたい?

 私が不幸じゃなかったら、私のせいじゃなかったら?

 うまく考えることができなかった。
以下略 AAS



133: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/06/10(日) 19:02:50.70 ID:AfpWDvGb0
 意思じゃなく、心がそう言った。
 自分でも気付いていない心だった。
 不幸のせいじゃなく、贖罪のためじゃなく、ただ私自身が、こんなにもステージに立ちたいと思っていたなんて。

 プロデューサーさんが大きくうなずく。
以下略 AAS



134: ◆ikbHUwR.fw[sage]
2018/06/10(日) 19:03:40.04 ID:AfpWDvGb0
(本日はここまでです)


135:名無しNIPPER[sage]
2018/06/10(日) 19:13:36.76 ID:WI4a1TbZo

プロデューサーの言ってることは本当なんだろうか


136:名無しNIPPER[sage]
2018/06/10(日) 21:45:03.84 ID:vuO0fTZj0
乙です
お話がグッと展開していく瞬間たまらない


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