56:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 17:23:41.26 ID:A6rjc17z0
最上階にあるレストランフロアの、カフェに立ち寄ります。
ようやく腰を落ち着けて――ふと窓の外を見ると、まだ雨が降り続いているようです。
57:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 17:28:36.80 ID:A6rjc17z0
「ほ、本当ですか?」
「えぇ」
彼女にはやはり、アイドルとしての素質があります。
58:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 17:30:20.23 ID:A6rjc17z0
明らかに、ほたるちゃんが身を強張らせました。
「ご、ごめんなさい。犬、苦手でしたか?」
「毎朝、吠えられていて、ちょっと……あ、でも、頑張りますからそれは…」
「い、いえ! 頑張らなくても……」
59:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 17:33:43.27 ID:A6rjc17z0
「……無理に励まそうと、しなくて良いんですよ?」
ほたるちゃんは、既に冷めてしまったカップを両手で持ち、視線を落としました。
「無理なんかじゃありません」
60:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 17:35:41.13 ID:A6rjc17z0
何を言いたいのか、うまく考えがまとまりません。
ですが――“かも知れない”ばかりを挙げていては、キリが無いのも事実だと思うのです。
「かも知れないとしても……」
61:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 17:51:15.85 ID:A6rjc17z0
「いえ」
ほたるちゃんは、優しく首を振ります。
「美優さんの気持ち、伝わります。
私も……トップアイドルを目指すと言いながら、臆病になりっぱなしでした」
62:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 17:52:35.24 ID:A6rjc17z0
「美優さん……」
彼女を救おうなどという、おこがましい考えなんてありません。
私は、彼女を理解し、見出した魅力を一人でも多くの人に知らしめたい。
63:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 17:54:15.77 ID:A6rjc17z0
「あっ」
帰り道、事務所が見えてきた所で、ふとほたるちゃんが立ち止まりました。
64:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 17:56:29.98 ID:A6rjc17z0
目当てのアイスが、売り切れているかも知れない。
買ったアイスに、ゴミが入っているかも知れない。
コンビニ強盗に遭遇するかも知れない。
――やはり、色々な可能性を言い出したらキリがありません。
65:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 17:58:01.88 ID:A6rjc17z0
――――。
少し、時間を置いて、私は開けかけた玄関扉の間をすり抜け、閉めました。
「ただいま帰りました」
66:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 18:00:20.75 ID:A6rjc17z0
「あぁ、違ったか。いやいやこちらこそ。
へぇー超買い込んだねぇ、楽しかった? いいなー」
プロデューサーさんは、先ほどの切迫した声が嘘のように、私に気さくに話しかけてくれました。
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