67:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 18:03:23.69 ID:A6rjc17z0
――少し、穏やかな顔に戻して、どこかプロデューサーさんは他人事のように話しました。
「先方とは、9月末の契約に向けて、話を進めているところだね」
私と、目を合わせようとしません。
68:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 18:05:04.92 ID:A6rjc17z0
「残念だけど、それは難しい」
毅然とした冷たい彼の言い方に、思わず私の体が強張ります。
「俺達が思っていた以上に、どうやらほたるちゃんの噂は有名らしくてね。
69:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 18:09:00.47 ID:A6rjc17z0
「さっき、難しいって……?」
「難しいとできないは違うんだよ、美優さん」
先ほどとは違い、どこか得意げにプロデューサーさんは鼻を鳴らします。
70:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 18:11:50.98 ID:A6rjc17z0
「す、すみませんでした……」
ほたるちゃんが頭を下げると、事務員さんは呆れながら手を振りました。
「悪いのは強盗だ、キミとは何も関係が無い。
たとえキミの不幸が遠因だとしても、キミが謝る話ではないだろう」
71:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 18:17:01.51 ID:A6rjc17z0
「今度、346プロが主催するでっかいライブイベントがあるの、知ってる?」
「サマーフェスか」
「そう、さすがネーサン、古巣だけあってよくご存知」
72:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 18:20:21.61 ID:A6rjc17z0
「そ、そんな事、できるんですか?」
だって、346プロのイベントに、無関係の私達が出るだなんて――。
「そこでネーサンの力が必要になるんだ。ネーサン、誰か頼れそうなツテとかない?」
「私とて、魔法使いではない。出来ることと出来ないことがある」
73:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 18:22:35.30 ID:A6rjc17z0
私の言葉に、プロデューサーさんと、事務員さんの目も点になります。
私は一度、ほたるちゃんの顔を見て、二人に向き直りました。
「そのおかげで、ほたるちゃんのファンの、第一号になれましたから」
74:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 18:26:51.89 ID:A6rjc17z0
「あ、あの」
声がした方に、皆が振り返ると――おずおずと、ほたるちゃんが手を挙げていました。
「どうした、ほたるちゃん?」
75:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 18:29:43.73 ID:A6rjc17z0
「高いな」
「嫌ならキッパリ禁煙しとけって。マジで女性のタバコだけは止めろよ、だから結婚できねぇんだ」
「いぃだだだだだだだだっ!!!」
気づいた時には、またそういう、関節技のようなものを決めていました。
76:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 18:31:59.62 ID:A6rjc17z0
という訳で――私とほたるちゃんは、ネガティブな事を言ったら百円。
プロデューサーさんは、擬音を言う度に。事務員さんは、タバコを吸ったら百円。
サマーフェス当日まで、このゲロちゃん募金は続け、本番が終わった後の打ち上げで使いましょう、という事になりました。
77:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 18:32:59.91 ID:A6rjc17z0
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