154:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 23:45:30.76 ID:A6rjc17z0
「ほたるちゃん……」
今日の――いいえ、会場に着いてからのほたるちゃんは、まるで別人のようです。
いつもはハの字になっている細い眉をキュッとさせて、口を固く結び、何よりもその目。
155:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 23:48:52.19 ID:A6rjc17z0
気づくと、空は真っ黒な雲に覆われ、時折遠くでゴロゴロと音が聞こえます。
プロデューサーさんが、ほたるちゃんを出演者用のテントへ案内しました。
皆さんの後ろを歩きながら、おもむろに私はバッグを漁ります。
そろそろ――。
156:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 23:52:02.71 ID:A6rjc17z0
可能性として考えられるシーンは、ただ一つ。
少し前、スタッフさんに渡す音源のCDを出そうとバッグを漁りながら――。
――キャッ!? うわ、す、すみま…
157:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 23:55:01.29 ID:A6rjc17z0
遠くの前方を歩く、三人組の女の子達のグループ――。
その一人の手元に、私は目を見張りました。
チラリと見える、見覚えのある小包――。
158:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 23:58:48.51 ID:A6rjc17z0
「はぁ、はぁ……!」
まだ遠くには行っていないはずです。
交差点に立ち、私は辺りを見回しました。
159:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:01:29.52 ID:LS54PsoZ0
お話が好きなのか、優しげに、しかしとてもゆっくりとお婆さんは笑いながら私に話しかけます。
見ると、あの子達の姿がどんどん小さくなっていました。
お婆さんには失礼ですが――こんな時に、次から次へ――!
160:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:03:52.69 ID:LS54PsoZ0
「ありがとうねえ、本当に助かったわぁ」
「後は、ここで並んで、順番がきたら先ほどの引換券を見せれば、大丈夫だと思います」
何度もお礼を言ってくれるお婆さんに会釈をして、私は一息つくと、再度走り出しました。
161:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:08:12.74 ID:LS54PsoZ0
「おねえさんありがとう!」
インフォメーションセンターに行くと、その子の母親とすぐに出会うことができました。
ちょうど、迷子の相談をしようと思っていたようです。
162:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:10:15.86 ID:LS54PsoZ0
「待って!」
あのプレゼントは、今日必ずほたるちゃんに渡さなくてはいけないものなんです。
車で出られたら、もう捕まえる術はありません。
163:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:13:14.69 ID:LS54PsoZ0
最初の信号で、運悪く引き離されました。
いえ、運悪くなんてありません。
これも“不幸”では、決して――。
164:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:18:19.79 ID:LS54PsoZ0
『ぬぅぅ〜〜わかった! 担当者のアレは俺が出とくから、ちゃんとバシッと戻ってね!
ほたるちゃんすっげぇ待ってるからさ!』
「えっ?」
『いや、えっじゃないよ! ほたるちゃんがもう……あ、はいすみません今行きます!
それじゃあ、俺も行かなきゃ。一旦切るね! 探し物しっかりな!! あぁっ!?うるせぇなネーサンお前空気読」
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