37:1[saga]
2018/03/18(日) 20:59:34.62 ID:61wO2nel0
30.
「お姉ちゃん!」
憂は私の肩を揺らし、何度も名前を呼びかける。
38:1[saga]
2018/03/18(日) 21:01:10.56 ID:61wO2nel0
31. 次の日
「おーい、ゆーいー」
遠くからりっちゃんの声が聞こえる。机でだらーっとしている昼休み。りっちゃんが私の前の席に座った。
39:1[saga]
2018/03/18(日) 21:02:48.75 ID:61wO2nel0
「力になれるかは……分からないけど。お前が苦しそうにしてる姿は前から何度か見てるんだよ。お前な、自分で思ってるよりも周りに影響を与えてるんだ。お前が苦しそうにしてると、周りのやつまで苦しくなるんだよ」
りっちゃんは私の髪をくちゃくちゃとかき回す。
「お前はみんなに守られてる。みんなお前の笑顔に力づけられてるんだよ。頼むから、抱え込むのはやめてくれ」
40:1[saga]
2018/03/18(日) 21:03:56.41 ID:61wO2nel0
「あのね、私ね……」
辛いんだ。助けてよ。
「……唯?」
41:1[saga]
2018/03/18(日) 21:10:40.03 ID:61wO2nel0
32. 同日放課後
部室には行かなかった。
私はどこに向かっているんだろう。
42:1[saga]
2018/03/18(日) 21:13:36.26 ID:61wO2nel0
33.
なんてことを言っちゃったんだろうと。そんなことを後悔しながらの帰り道。
私は多分、苦しいことへの立ち向かい方を知らない。憂が、和ちゃんが、いつでも助けてくれたから。一人で抱え込む必要がなかったから。
43:1[saga]
2018/03/18(日) 21:20:22.74 ID:61wO2nel0
34.
「紬さん! 紬さん!!」
憂はムギちゃんを抱きかかえる。
44:1[saga]
2018/03/18(日) 21:24:48.68 ID:61wO2nel0
35.
私は1人になった。
1人というのは結構珍しいことで、私はなんだかんだ誰か、その親密さがどうだとしても、人といつもいた。文字通り距離的にも、また精神的にも。孤独は、新鮮だった。
45:1[saga]
2018/03/18(日) 21:32:28.71 ID:61wO2nel0
『過去って夜みたい』
何を思うか分からない目で、きゅうべえは私を見返した。
『憂がそう言っていたよ。彼女にとって、姉の存在は全てと言っていい。興味深いよ。あそこまで人間が人間を想えるとは。限度を超えてる』
46:1[saga]
2018/03/18(日) 21:39:29.91 ID:61wO2nel0
36.
「……お姉ちゃん」
私は憂のベッドの側まで来て、椅子に座った。
47:1[saga]
2018/03/18(日) 21:46:50.58 ID:61wO2nel0
37. 10分後
「おい! 今入るな!」
部屋の外で澪ちゃんが誰かを止めていた。憂はもう寝息を立てていて、私は部屋を出ようとしていたところだった。
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