唯「奇跡も、魔法も、あるんだよ」
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42:1[saga]
2018/03/18(日) 21:13:36.26 ID:61wO2nel0
33.

なんてことを言っちゃったんだろうと。そんなことを後悔しながらの帰り道。

私は多分、苦しいことへの立ち向かい方を知らない。憂が、和ちゃんが、いつでも助けてくれたから。一人で抱え込む必要がなかったから。

私はまた助けを求めてる。誰かが心配して私に声をかけて、勝手に手を取ってくれるって。

これは運が悪かったのかな、今回はそうはいかなかった。助けてもらうための時間が、今回はなかった。

ただの一回の失敗。そんなことで全部終わったみたいなことをして、私は本当に弱っちいなと痛感した。

これから行うのは、二回目の失敗。
三人で戦う最後の日と思って臨んだ、中途半端な覚悟を持って。
今度こそ、全部が終わった。


『唯! しっかりしなよ!』


集中できない。恐怖が、焦りが、様々な感情が襲ってくる。
転移の焦点が定まらない。

「唯ちゃん危ない!」

ムギちゃんが私の前に立ちはだかって鞭を振るう。それでも魔女の猛攻は止まらない。

私は一つ分動作が遅れる。そのせいで決定打を作れない。

「紬さん! 今日は私1人で倒します!」

「分かったわ! 憂ちゃんお願い!」

憂は今まで私たちに合わせてきた時が嘘かのように、リミットを外して魔女に襲いかかる。

一秒に十発以上飛んでくる大きな槍を余計な回避動作なしでかわし、一瞬で距離を詰めた。憂は剣で突き刺すけれど本体は霧のように消え上に現れる。
憂を使い魔が囲み、使い魔は近づきながら膨張する。爆発と同時に魔女は無数の槍を煙の中に飛ばした。
私は空間転移を使わない。憂は爆発の小さなラグを見て爆心地を抜け出し槍を全て剣で弾いていた。

魔女は慄く。憂はまた一瞬で距離を詰める。魔女はまた霧散し斜め下に現れるけれど、また形になりきる前に憂は魔女を何重にも切り刻んでいた。
魔女の顔に、剣が刺さる。

ムギちゃんは一息ついたようだった。

私には聞こえて、見えていた。魔女が最後の瞬間、何かを仕掛けようとしたことを。


自爆だった。


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