43:1[saga]
2018/03/18(日) 21:20:22.74 ID:61wO2nel0
34.
「紬さん! 紬さん!!」
憂はムギちゃんを抱きかかえる。
ムギちゃんはもう息をしていなかった。
「ムギ、ちゃん……」
ムギちゃんは私を庇った。
自爆に気づいた私。気づいた私に気づいたムギちゃん。ワンテンポ遅れたムギちゃんが取ったのは、私を生かすという選択肢だった。
ものすごい感覚だ。
死にたい。死なせて。お願い。
私はなぜ生きているのか。私はムギちゃんのせいで、死ねない。
ムギちゃんの救ってくれた命は、とても無駄にはできなかった。
『もうだめだね。本体であるソウルジェムが破壊されてしまった』
憂はムギちゃんにすがりついて離れなかった。
憂が圧倒的な力の差を魔女に見せつけたから、魔女は諦めて自爆を選んだ。
そういう解釈も可能だと、その後きゅうべえは言っている。
「うい……」
憂に触れたかった。届かなかった。
憂も、ふらりとその場に倒れたのだ。
すぐに病院に運ばれた。
憂の体はぼろぼろで、疲れ果てていた。私の妹で、私よりしっかりしていて、私より大人っぽくて。
でも私より強くはなくて。
こんな私を助けられるほど、憂に余裕はなくなっていた。
診断結果は、末期ガンだった。
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