44:1[saga]
2018/03/18(日) 21:24:48.68 ID:61wO2nel0
35.
私は1人になった。
1人というのは結構珍しいことで、私はなんだかんだ誰か、その親密さがどうだとしても、人といつもいた。文字通り距離的にも、また精神的にも。孤独は、新鮮だった。
なんだろう、この呆気ない喪失感は。
ーーガンは急激に、今も成長を続けています。原因は分かりません。なぜ肺ガンになってしまったのかも、全く不明です。
きゅうべえが言うには「副作用」だそうだ。最強になりたいと願った憂の願いは殆ど叶えられた。そのためにきゅうべえは、憂の肉体に改造を施した。当然だ。最強になりたかったんだから。
考えれば当たり前な話で、ただ簡単に最強になれるのならば、ただリスクなしに最強になれるのならば、この世の魔法少女は全員最強なんだ。
それが普通きゅうべえに出来ないってことを、もう少し考えるべきだったんだ。
つまり、きゅうべえが施した細胞単位の肉体改造が、ガン細胞を生み出していた、ということだった。
「憂の病気、治してよ。きゅうべえのせいじゃん」
ごめんね、1人ぼっちじゃなかったや。きゅうべえがいるんだったね。
『まあ、確かに責任は僕にある。でも僕は忠告したよ? リスクが伴うって』
覚えてるって、そんなこと。私はね、誰かのせいにしたいだけなんだよ。
『治すにしても、憂の病気は、憂の願いによるものだ。その病気を治すには、少なくとも同等の願いが必要になる』
「治すには、誰かが魔法少女になる必要があるってこと?」
『そうだよ』
それは絶望的だね。本当に。
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