45:1[saga]
2018/03/18(日) 21:32:28.71 ID:61wO2nel0
『過去って夜みたい』
何を思うか分からない目で、きゅうべえは私を見返した。
『憂がそう言っていたよ。彼女にとって、姉の存在は全てと言っていい。興味深いよ。あそこまで人間が人間を想えるとは。限度を超えてる』
きゅうべえに人間の何がわかるんだろうか。
『君は高校生になってから随分変わったそうだね。それもいい方向に。憂は確かに優秀だし君よりしっかりしているけど、幼い。自分の感情を抑えられない』
『魔女狩りは憂にとって嬉しくもあったんだよ。君と一緒に何かできることが。中学生までの君を思い出すようで、楽しかった』
『だから憂は、前を見れない』
『俯いているから、視界が暗い』
『彼女は、夜に生きている』
過去って夜みたい。
それは人間が誰でも持っている大罪の一つ。私みたいな存在が理解できない感情。
「唯! 憂ちゃんが目を覚まし……た」
やあ澪ちゃん、なんかすごい久しぶりな気がするね。つい何時間か前に会ったばかりなのに。
「お前……」
何かな。
私の顔、何かついてるのかな。
「お前、誰だ」
よく分からないけれど。
私の顔には多分、魔女が憑いていたんだと思う。
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