唯「奇跡も、魔法も、あるんだよ」
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39:1[saga]
2018/03/18(日) 21:02:48.75 ID:61wO2nel0
「力になれるかは……分からないけど。お前が苦しそうにしてる姿は前から何度か見てるんだよ。お前な、自分で思ってるよりも周りに影響を与えてるんだ。お前が苦しそうにしてると、周りのやつまで苦しくなるんだよ」

りっちゃんは私の髪をくちゃくちゃとかき回す。

「お前はみんなに守られてる。みんなお前の笑顔に力づけられてるんだよ。頼むから、抱え込むのはやめてくれ」

前から言おう言おうとしていたことを言えた、そんな顔をりっちゃんはしていた。

やめてよ。嘘をつくと、もっと苦しくなっちゃうんだよ……。

「おい律!! なに唯のこといじめてるんだ!」

「は? 澪、誤解だって! 私はただ……」

「唯泣いてるじゃないか! まったく……」

泣いてる……? ごめんね、りっちゃん。りっちゃんは私のために叱ってくれただけなのに。

違うんだよ、澪ちゃん。違うんだよ。

声にならないのはなんでだろう。視界が歪んだ。自分の嗚咽が聞こえてきた。

ああ私、また泣いてるんだ。
この泣き虫。

「……んね、ご……ね、っ……りっちゃ……」

和ちゃんの声も聞こえた。クラスのみんなも集まってきている。クラスのみんなの心配そうな声が、りっちゃんを非難する声が聞こえる。

キーンコーンカーンコーン……

予鈴のチャイムだ。このままじゃ、りっちゃんが誤解されたまま授業が始まっちゃう。

「唯、」

耳元でりっちゃんが囁く。

「自分のせいだって思う必要はないぞ。あとで誤解はちゃんと解いとくから。唯が……そうだな、キーボードの練習でスランプになって、弱音吐いてたってことにしよう。話合わせろよ?」

りっちゃんが離れていっちゃう。私はりっちゃんの袖をつかんだ。



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