唯「奇跡も、魔法も、あるんだよ」
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40:1[saga]
2018/03/18(日) 21:03:56.41 ID:61wO2nel0
「あのね、私ね……」

辛いんだ。助けてよ。

「……唯?」

もう戦いたくないよ。誰かを、憂やムギちゃんを失うのが怖いんだよ。

言いたくない。逃げたくない。でも言わなきゃ。でもなんでこんなにも口が重たいんだ。

私には分かっていた。それを話すことは、りっちゃんをこの世界に招き入れることだって。私は、私の手で友達を巻き込みたくない。

犯人になりたくない。

なんて最低なことを考えながら

察して欲しいと甘えながら

誰かに対して苛立った。

〔そうだ〕

嫌い。

〔大事な人を失わないためには〕

嫌だ。

〔足手まといが〕

嫌だ。

〔消えればいいんだ〕

死にたくないよ。



「コスプレしてるんだよ」

全身の力が抜けた。

「ムギちゃんと、憂と。ほら、りっちゃんが嫌いそうなアニメのやつだよ。それでね、昨日、ムギちゃんの衣装を破りそうになったんだ。それだけなんだよ。だからもう、心配しなくてもいいんだよ」

りっちゃんは口を開けていた。信じてくれるかな。そんな訳ないよね。

りっちゃんは、私の手を振りほどいた。

「唯、私はお前のこと、親友だと思ってたよ」

そっか。そうだよね。
願いは通じなかった。

ごめんね、りっちゃん。



さよなら、りっちゃん。

さよなら、軽音部。



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