2: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/02/08(木) 07:49:27.92 ID:9Wp9vh8Yo
そうして彼女は、歌の審査の為に同席していた千早の方に視線をやると。
「千早は? どう思う?」
3: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/02/08(木) 07:51:59.20 ID:9Wp9vh8Yo
「それでも枠は限られてるんですから。私的には、こういう即戦力になりそうな子をもっとですね」
「そりゃ、優先的に採用するべきってのは俺も分かってるんだけどさ……」
4: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/02/08(木) 07:53:55.33 ID:9Wp9vh8Yo
「やっぱ、それなりにみんな緊張してるって感じだった」
「そうか……。まぁ、そうだろうなぁ」
5: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/02/08(木) 07:55:34.06 ID:9Wp9vh8Yo
「……ん、けどさ。そういうのをどうにかしようとする時に、仲間の力って役立つでしょ?」
言って、恵美は俺たちのことを順番に見た。
6: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/02/08(木) 07:58:00.62 ID:9Wp9vh8Yo
「ですから私に、これから歌を歌いに行く許可を。
確か、機材はココにありましたよね? 音楽の力で緊張をほぐしてみせますから」
「それって千早とアタシが協力して、全員参加の即興カラオケ大会開くってこと? ……いいじゃんっ♪」
7: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/02/08(木) 07:59:31.25 ID:9Wp9vh8Yo
「……ん、分かった! 任せといて」
にゃははっ、と明るい笑顔を残して去っていく。
しばらくすると、再び部屋の扉はノックされた。
8: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/02/08(木) 08:01:03.00 ID:9Wp9vh8Yo
===2
「だから私は、ココでアイドルになりたいんです」と締めくくった少女の瞳は燃えていた。
それも轟々と赤く音を立てるような炎ではなく、静かに青く燃え続ける確かな強さを持った火だ。
9: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/02/08(木) 08:02:48.81 ID:9Wp9vh8Yo
「いや、でも、あの子はだいぶ逸材だよ? 声に強い力もあるし、ルックスだって申し分ない」
「それでもダンスの成績がすこぶる悪い。これなら、同じ条件でももう少し踊れる別の子の方が――」
10: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/02/08(木) 08:04:50.77 ID:9Wp9vh8Yo
そうだ。まだ面接する必要のある子は残ってる。
「千早、この話は一先ずお預けね。……どうぞ!」
11: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/02/08(木) 08:06:29.14 ID:9Wp9vh8Yo
「特長がないのが特徴」だと、誰かの言葉を思いだす。ああ、全くその通り。
「小さな頃から演劇や舞台は好きだった。芝居やミュージカルに惹かれ、
自分でも感動を生み出す側になりたかった……ですか」
12: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/02/08(木) 08:09:10.64 ID:9Wp9vh8Yo
「それから演劇部の先生や両親にも話をして……。みんな、頑張れと送り出してくれました」
友人たちには応援され、大人の理解も得られている。
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