6: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/02/08(木) 07:58:00.62 ID:9Wp9vh8Yo
「ですから私に、これから歌を歌いに行く許可を。
確か、機材はココにありましたよね? 音楽の力で緊張をほぐしてみせますから」
「それって千早とアタシが協力して、全員参加の即興カラオケ大会開くってこと? ……いいじゃんっ♪」
「待て待て待て。確かにカラオケセットもあるにはあるが、千早は面接官の一人だろ?」
「っていうか三人とも、どうしてカラオケをすることが決定のように振る舞って――じゃっなーいっ!!
その面接を始めなきゃって話が先! 予定時間に開始できなきゃできないほど、待ってる方は辛いんだから」
結局、律子が締めて話が終わる。
「全く途中まではまともな話だったのに……」とぼやく彼女に頼まれて、
最初の面接者を呼びに行く恵美を俺は「あ、待った」と呼び止めた。
「恵美、さっきの提案なんだけど」
「提案?」
「緊張をほぐしたいってアレさ。嫌じゃなけりゃ、しばらく控え室で雑談しててくれないかな」
すると振り返った彼女は怪訝そうに首を傾げ。
「別に雑談するのはいいけどさ。何の話するの? 今日の天気なんて言わないでね」
「それこそ765プロの話でいいよ。質問なんかに答えたり……現時点での恵美の持ってる印象とか」
「……そんなんでいいの?」
「そんなんだからいいのさ。日は浅くたって恵美は立派な先輩だろ?
それに恵美の気さくな人柄は、いるだけで緊張をほぐす優れものだ」
少し大げさ過ぎるかもしれないが、言った言葉に嘘は無い。
彼女の方もこちらの言いたいことをなんとなく察してくれたようで。
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