2: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/02/08(木) 07:49:27.92 ID:9Wp9vh8Yo
そうして彼女は、歌の審査の為に同席していた千早の方に視線をやると。
「千早は? どう思う?」
「えっ!? わ、私にふるの?」
「当然でしょ。歌に関しちゃ、一応ウチで一番の御意見番だから」
突然意見を求められて、千早は心底驚いたようだった。
思わず俺を見るものだから「頼む!」と両手を合わせてみる。
「私は……歌を楽しく歌う人に、悪い人はいないとそう思うわ」
「だ、そうだぞ律子?」
「誰が善悪の話をしてますか。モノになるかどーかの意見が聞きたいのよ!」
バシッと机を軽く叩き、「全く二人ともこれだから!」と言わんばかりに露骨に眉根を寄せる律子。
「この矢吹って子に将来性が有るか無いか。大切なのはソコよ、ソコ」
「だからさ、その辺も含めて次の面接を見ようじゃないか」
すると千早も俺の言葉に頷いて。
「そうですね。技術が拙いということは、その分の伸びしろがあるとも言えるワケだし……」
「おっ、ほれみろ律子。千早先生の太鼓判だぞ」
「……プロデューサー。私はただ、一般論を述べただけです」
千早が茶化さないでくださいと首を振る。
律子はまだ納得できていないようで、件の応募者とは違うもう一人のプロフィール資料を手に取った。
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