10: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/02/08(木) 08:04:50.77 ID:9Wp9vh8Yo
そうだ。まだ面接する必要のある子は残ってる。
「千早、この話は一先ずお預けね。……どうぞ!」
律子が扉に声をかけ、現れた面接者は実に平凡な少女だった。
いや、平凡と言うのは少し違うか。彼女の場合はもっとこう――標準?
「改めまして、田中琴葉と言います」
聞き取りやすい通る声に、多少の緊張はあるものの随分しっかりとした受け応え。
このオーディションを受けることになった経緯から、
これまでの生活を通しての自己PRまでそつなくこなす彼女はまるで……。
まるでそう、『絶対受かる面接術!』なんて教習ビデオに登場して、
"良い例"を披露する役者のような優秀さだ。
実際、演劇部に所属しているという彼女は人前で発言すること自体慣れていたんだろう。
その堂々とした立ち振る舞いに隣の律子はご満悦。
千早も特に悪くは思って無いようで。
「安定感がありますよね。彼女の歌もそうでしたけど」
……その一言で思い出した。俺が矢吹さんを推した時、
律子から渡された成績優秀者のプロフィールは他ならぬ彼女の物だったじゃないか!
「これは自慢じゃないですけど。私も人を見る目にはすこーし自信がありますから」
ぬぐぐ、おまけに律子には小声で自慢される。
だが目の前の田中って子が逸材なのは間違いない。
初めに彼女が地味というか、一見平凡に見えたワケも今は分かる。
なんてことはない、彼女は高水準だっただけなのだ。
全体が高いレベルでまとまってるせいで突出した部分が見えにくいというアレだ。
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