森久保乃々「さよなら、森久保」
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18:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:11:31.64 ID:QxgIwWOp0

 私と森久保の日々に転機が訪れたのは私が十四歳になったときの夏休みでした。
 
 私は夏の照り付ける日差しがどうも苦手、という体にして、
 特に外出することもなく部屋に引きこもり、本を読んで過ごしていました。
以下略 AAS



19:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:14:29.13 ID:QxgIwWOp0

 叔父は私に、自身が雑誌の編集者をやっていること、
 今回の撮影で子役を用意していたのだが、その子が風邪で倒れてしまい、私に代役を頼みに来たことを伝えました。
 私はすぐさま首を振りました。

以下略 AAS



20:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:17:28.36 ID:QxgIwWOp0

「そうかぁ。どうしてもだめかぁ」

 叔父はがっくりとため息を吐きました。
 叔父のその姿を見て、私は、何も悪いことをしていない、無理なものを無理と言っただけなのに、
以下略 AAS



21:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:18:33.48 ID:QxgIwWOp0

「乃々? おじさんもこんなに頼んでいるんだから協力してあげたら?」

 横で母が言いました。母は優しそうに笑っていました。
 母の笑顔を見た叔父が、計画通りに事が運んでいることを、にやりと笑った気がしました。
以下略 AAS



22:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:20:04.01 ID:QxgIwWOp0

 そしてこれは私の非常によろしくない性質なのですが、
 私は自分から人に対して何かをお願いするようなことは決してできませんが、
 ものごとを真剣に頼まれると断ることが出来ません。

以下略 AAS



23:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:22:08.44 ID:QxgIwWOp0

 さらに私は未来のことを考えるのも苦手でした。

 ここで断ることによって生じる苦痛と後で生じる苦痛。
 どちらがより私に刺さるのかまったく判断がつきません。
以下略 AAS



24:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:24:04.83 ID:QxgIwWOp0

 次の日、さっそく私は撮影現場へと連れてこられました。
 初めて見る撮影現場は慌ただしく、誰もがみな忙しそうに撮影の準備をしていました。

 叔父はその人たちの動きを一度中断させ、
以下略 AAS



25:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:26:12.67 ID:QxgIwWOp0

 そのぎこちない笑顔を浮かべて、
 心の中で、「むーりぃー」と大人たちの視線と戦っている間に、
 カメラは二、三回フラッシュをたき、撮影は終わりました。

以下略 AAS



26:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:28:32.88 ID:QxgIwWOp0

「ごめん。驚かせた?」
「いえ……。森久保が少し、ぼーっとしていただけです」
「そうか。ならよかった」

以下略 AAS



27:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:30:10.73 ID:QxgIwWOp0

 ただ笑っていたのです。
 これまでの短い人生の間に、私は数人ほどただ笑っているだけの笑顔を持つ人に出会ってきました。

 しかし、その人達は表と裏の区別がない、言ってしまえば何も考えていないような単純な人達でした。
以下略 AAS



28:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:31:29.97 ID:QxgIwWOp0

「君、アイドルにならない?」

 その言葉はあまりにも突然、かけられました。晴れの日に落ちてくる雷のような衝撃でした。
 私は一瞬、何を言われたか理解できなくて、その男性の言葉を小さく繰り返しました。  
以下略 AAS



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