8:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 18:48:07.15 ID:QxgIwWOp0
その日から私は「いい子」ではなくなってしまいました。
正確には、いい子でありたいと願っていたのですが、いい子であることを保つことが出来なくなりました。
私は常に、人の視線に怯えるようになりました。
9:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 18:50:20.66 ID:QxgIwWOp0
『常に人に見られていると思って行動しなさい』
放課後の帰り道、一人、歩いていると、誰かが後ろからつけてきている。振り返ると、誰もいません。
10:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 18:51:41.06 ID:QxgIwWOp0
私はどんどんひねくれた子供になっていきました。
それはクラスメイトの三人の心が伝染したのか、人間としての本質的な黒さだったのかはわかりません。
私は人と目を合わせることが出来なくなり、人の発言や行動の奥を疑うようになりました。
11:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 18:52:15.05 ID:QxgIwWOp0
しかしながら皮肉なことに、このひねくれた性格こそが、
私の、人に対する不安や恐怖への対抗策になることが後々にわかりました。
12:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 18:54:41.52 ID:QxgIwWOp0
中学一年の冬でした。空には鈍色が広がっていました。体育の授業でした。
体育館は他のクラスが使っているということで、私たちのクラスはマラソンになりました。
冷たい風が肌に突き刺さるこの時期に、殺風景なグラウンドを走りたいと思うのはよっぽどの少数派で、
13:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 18:58:30.00 ID:QxgIwWOp0
「今言ったの森久保さん?」
声をかけられ、しまった、と振り返ると、
クラスメイトの一人が驚いたように、私を見ていました。
私が吐きだした言葉はどうやら思っていたよりも大きかったようでした。
14:名無しNIPPER
2018/01/23(火) 19:00:16.73 ID:QxgIwWOp0
しかし、私の絶望のような思いとは裏腹に、
「森久保さんって実は面白い人だったんだね」
15:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:02:27.13 ID:QxgIwWOp0
みんなが私を見て笑っている。
それは、常に私が怯えている感覚と、
文字だけで見れば違いはありませんが、そこには確かに違いがありました。
16:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:03:55.22 ID:QxgIwWOp0
それから私はひねくれキャラを演じるようになりました。クラスメイトたちは私のことを大変気にいってくれました。
「乃々ちゃんは面白いね」
17:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:05:25.91 ID:QxgIwWOp0
ですが、私の森久保は、
他者に対する万能のアイテムではありませんでした。
先ほども書きましたが、この森久保はキャラであり、仮面でした。
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