106:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 01:01:26.88 ID:GJMDUn0X0
「それは森久保にアイドルを辞める手続きとかをさせるからですか?」
本心でした。プロデューサーさんは、まさかと笑い、
107:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 01:03:29.14 ID:GJMDUn0X0
私は急いで顔を洗い、服を着替え、ピアスをつけ、部屋を出ました。
久しぶりにつけるピアスはひんやりとしていて、相変わらずずしりと響きました。
車の中で、プロデューサーさんは、
108:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 01:04:52.32 ID:GJMDUn0X0
事務所につくと、無関心だったはずの世間は久しぶりの私の登場に、目を向け、
「元気だった?」「心配していたの」と声をかけてきたので、逃げるように机の下へと向かいました。
横には変わらず、キノコさんが住んでいて、
109:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 01:05:55.10 ID:GJMDUn0X0
しばらくすると、プロデューサーさんがレッスンの時間だとやってきて、嫌がる森久保に、
「その顔は本気で嫌がっている顔じゃないな。ライブの時はもっと深刻な表情をしてた」
110:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 01:18:24.22 ID:GJMDUn0X0
レッスンが終わり、「じゃあまた明日」と寮まで送られ、
部屋に戻り、ピアスを外し、私は、おかしい、と思いました。
プロデューサーさんも、トレーナーさんも、キノコさんも、普段通りでした。
111:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 01:19:40.38 ID:GJMDUn0X0
次の日からも、同じような日々が繰り返されました。
私は事務所に行き、机の下に隠れ、時間が来るとレッスン室へと向かいました。
私は三人を観察するようになりました。
112:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 01:20:34.86 ID:GJMDUn0X0
ですが、事態は変わりませんでした。
私が隠れていると、キノコさんは私を匿い、ときには一緒になって隠れ、
それを見つけたプロデューサーさんが、
113:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 01:25:17.41 ID:GJMDUn0X0
私はついに我慢できなくなって、ある日、わざわざ隣の机へと出向き、
キノコの世話をしていたキノコさんに、「話があるんですけど」と改めて告げ、
ぎゅうぎゅう詰めの机の下で、他の誰にも聞かれぬよう細心の注意を払って、
114:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 01:27:12.01 ID:GJMDUn0X0
キノコさんは少し考えてから、さも当たり前かのように言いました。
「む、難しいことはわからないけど、私たちは友達だろ。
友達に、どうしてとか、メリットとか必要ないんじゃないかな」
115:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 01:28:57.09 ID:GJMDUn0X0
それから私はレッスン室へと向かい、トレーナーさんに、
「どうしてトレーナーさんは今でも森久保のレッスンを見てくれるのですか。お仕事だからですか」
116:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 01:31:44.32 ID:GJMDUn0X0
友情や応援。
それは私が今まで見てきたものとは全く異なるものでした。
友情に損得はなく、応援は誰かのための行為でした。
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