18:名無しNIPPER[saga]
2018/01/18(木) 21:21:52.76 ID:3iKMEwHU0
「カッとなってすまんな。少なくともこっち側はしとらん。プロデューサーさんもビリケンさんに誓ってたし」
「……それなら、こっちの事務所の方針かもしれませんね」
ありえる。私はそういうのに、一切口を出さないから。
ぺきりとプルタブの音。
19:名無しNIPPER[saga]
2018/01/18(木) 21:22:22.99 ID:3iKMEwHU0
春が見えてきつつはあったけれど、まだ冬の色合いが濃い季節だった。
そうだ、ちょうど今頃だった。昼は偶に暖かい時があるけれど、夜はめっきり冷えるから、着るものに困る。
その日も散々迷って、暑い分には脱げばいいかとコートとマフラーをしていった。
いつもの電車に乗って、いつもの道を歩いて、あぁやっぱり暑かったなぁ、なんて少し後悔しながらコンビニに寄った。
20:名無しNIPPER[saga]
2018/01/18(木) 21:22:48.48 ID:3iKMEwHU0
「あの頃765プロはアイドル事務所やったし、移籍の判断はおかしくなかったんやと思う。
……でも、あれを切っ掛けにか、所属しとる人の年齢があがったからかは知らんけど、
765プロもより広い方向へ舵を切った。それを待つわけには、いかんかったんか?」
それは外側からみていても、わかった。
21:名無しNIPPER[saga]
2018/01/18(木) 21:23:31.28 ID:3iKMEwHU0
「その後やな。『志保ちゃんのこと、あまり怒らないであげて』……そう言うたんや」
掌で抱えていた缶が、しんと冷たく感じた。
体はコタツでぽかぽかしているのに、指の先は冷たい。
私は缶から手を離して、コタツの中へそっと差し入れる。
22:名無しNIPPER[saga]
2018/01/18(木) 21:23:58.68 ID:3iKMEwHU0
「……でもなぁ。やっぱり、何も相談してくれへんかったのは、納得できへん……
いや、したくなかったんやろうな、私は」
奈緒さんはぱたりと顔を天板にのせる。くせなのかもしれない。
あの頃にはなかったくせだって、そりゃあいくつも出来るだろう。
23:名無しNIPPER[saga]
2018/01/18(木) 21:24:26.68 ID:3iKMEwHU0
「がんばれ」
そんな言葉が、ぽつりと呟かれた。
顔を上げる。私に向かって言われたわけではなかった。
奈緒さんは体を起こし、画面へ視線を向けていた。
24:名無しNIPPER[saga]
2018/01/18(木) 21:25:05.27 ID:3iKMEwHU0
奈緒さんは天板にぴたりと耳を当て、まるでコタツの呼吸を聞いているみたいだった。
しばらくして、んんっ、と唸りながら起き上がる。
「お、おぉー。あれな、覚えとるよ」
「本当に覚えていますか?」
25:名無しNIPPER[saga]
2018/01/18(木) 21:25:31.71 ID:3iKMEwHU0
「そうです。ちょうど寒い時期だったので、コタツに鏡を設置して、お化粧したりしてましたね」
「おー、あれ凄かったよな。四面に鏡が重なりあって、
真ん中に置いてあるミカンとれへんくなってなぁ。あ、ミカン食べる?」
「いりません。っていうか、お酒飲みながら甘いものは食べないでしょう」
「えー、私は食べられるけどなぁ」
26:名無しNIPPER[saga]
2018/01/18(木) 21:26:21.90 ID:3iKMEwHU0
「運ぶの手伝ったんだから、許してくださいよ」
「あほか。だいたい、志保がおらんでも誰か手伝ってくれたわ。私、人徳に溢れてるし」
「まぁ、否定はできませんけど」
「そこは突っ込んでほしい」
27:名無しNIPPER[saga]
2018/01/18(木) 21:26:56.87 ID:3iKMEwHU0
「可奈がコタツ布団、簀巻きにして背負っとったなぁ」
「垂直の布団が歩いてましたからね。完全にコメディ映画でした」
「静香と志保の息があわんと、電信柱に天板ぶつけそうになったり」
「そんなこともありましたね」
「ぶつけそうになると、エミリーが『oh my god!』って叫んどったからな」
28:名無しNIPPER[saga]
2018/01/18(木) 21:27:26.41 ID:3iKMEwHU0
「きみな……もっと言う事あるやろ……」
「拭いてください」
「もちろん拭くよ。
……くそっ、あんなギャグで……いやでもアミーゴいう奴やしな……」
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