奈緒「志保、コタツはいつでも出せるんやで」
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21:名無しNIPPER[saga]
2018/01/18(木) 21:23:31.28 ID:3iKMEwHU0
「その後やな。『志保ちゃんのこと、あまり怒らないであげて』……そう言うたんや」

 掌で抱えていた缶が、しんと冷たく感じた。
 体はコタツでぽかぽかしているのに、指の先は冷たい。
 私は缶から手を離して、コタツの中へそっと差し入れる。

「怒っていたんですね、みんな」
「静香と可奈は、ひょっとするとそうやったのかもしれん。……いや、私もかな?」

 よくわからんわ、と奈緒さんは笑いながら首を傾けた。

「でもその時は、えっなんでその話なん、と思ったわけや。
 別に志保が裏切り者やとか、そう言いたいわけじゃないねんで。
 ただ……話題にあげたりも、なかった。だから、他の誰かから、志保の名前を聞くのが久し振りやったな」

 エミリーの歌がやわらかに響いている。あの頃のように、歌っている。

「その後、このみさんはこんな感じに言うたんやなかったかな。

『夢はいつか終わります。アイドルっていう仕事は、永遠には出来ないから。
 ……でも、その先にも道がある。私が事務員としてみんなをサポートするように。
 みんなにもきっと今の道の続きがある。
 志保ちゃんはそれに、一番最初に気づいたのだと思う』

 ……その時から、うん、割とみんな、受け止められたんやないかな。
 テレビで志保が映ると、わぁーってみんな集まって、はらはらしたり、感心したりしてなぁ」


 奈緒さんはチューハイを飲みきって、ことりと天板の上に置いた。私の缶には、まだ大分残りがある。


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