20:名無しNIPPER[saga]
2018/01/18(木) 21:22:48.48 ID:3iKMEwHU0
「あの頃765プロはアイドル事務所やったし、移籍の判断はおかしくなかったんやと思う。
……でも、あれを切っ掛けにか、所属しとる人の年齢があがったからかは知らんけど、
765プロもより広い方向へ舵を切った。それを待つわけには、いかんかったんか?」
それは外側からみていても、わかった。
社長も今後のビジョンとして、そういう展望を明かしてくれたし。
普通、所属しているアイドルにそんな事を話すなんてそうそうない気もする。
つよく慰留されている、というのはわかった。それでも、私の決意は変わらなかった。
「えぇ、そうですね。あの時、あの瞬間がベストだったんです」
「……さよか」
言葉ではそう言いつつ、納得したような顔はしていない。
難しそうに唇を尖らせたあと、チューハイをあおる。
「話はちょっとずれるかもやけどな」
奈緒さんがピーナッツをぽいっと空中に放り、口で見事にキャッチした。
こういう変なことは昔からうまい。
「このみさんが事務員にかわる時、みんなへ挨拶することになってなぁ。
本人はこれからも事務所で会うんだからいいでしょ、って言うたんやけど、
せっかくだから、ってプロデューサーさんがみんな集めてくれてな」
懐かしそうに目を細める。私の知らない風景はきっといくつもあるんだろう。
「もうみんな最初から涙目なんやけど、このみさんが話の途中で改まってな。
『夢みたいな時間をありがとう』、そんな事を言ったんやね。
はは、莉緒さん、やばかったな。メイク全部はがれる勢いやったよ、あれは」
「想像出来ますね。何だかんだ、頼りにされてましたし」
「せやな。その何だかんだ、ってのは余すことなくこのみさんに伝えておくけども」
からからと笑う。私も釣られて少しだけ笑った。
奈緒さんはじっとテレビの方をみやる。
映像はいくらか進んでいて、エミリーがバックダンサーを引き連れ『微笑み日和』を歌っていた。
ただ、奈緒さんの視線はぼんやりとしていて、ここではない、違う場所をみつめているみたいだった。
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