奈緒「志保、コタツはいつでも出せるんやで」
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27:名無しNIPPER[saga]
2018/01/18(木) 21:26:56.87 ID:3iKMEwHU0
「可奈がコタツ布団、簀巻きにして背負っとったなぁ」
「垂直の布団が歩いてましたからね。完全にコメディ映画でした」
「静香と志保の息があわんと、電信柱に天板ぶつけそうになったり」
「そんなこともありましたね」
「ぶつけそうになると、エミリーが『oh my god!』って叫んどったからな」
「ぷっ、くくく……あっ、麗花さんが、コタツの足をどこかに置いて来ちゃったりもしましたね」
「あれなー。手伝ってもらっといてなんやけど、あの時は軽く殺意おぼえそうになったで」
「休憩したコンビニに置いてありましたね。取りに戻ったとき、店員さんが困ってたなぁ」
「茜がコタツの足を自分の足に落として、悶絶しとったりもしたなぁ」
「泣いてましたよね」
「凄い勢いで足が吹っ飛んでいったから、私も泣きそうやったよ。そっちの足、傷残ってるんやないかな?」

 曲がり角の度にドラマが起きた。ぶつけそうになったり、転びそうになったり、落としそうになったり。
 その度に私達も、笑ったり、驚いたり、泣いたりした。

 私は一拍置いて、ロング缶を勢いのまま一気に飲み干す。苦かった。そして、甘かった。

「すごく、楽しかったんです。本当に、楽しかった。……楽しすぎたんです」

 アルコールが回ってきたみたいだった。
 視界が少し潤んでる。
 鼻水が出てきそうだった。奈緒さんが、よっと声をあげ、上体を反らす。
 ベッドの横からティッシュボックスを取り、天板の上を滑らせた。
 私のお腹にぽこんと落ちてくる。一枚つまんで、鼻をかむ。いっぱい出た。もう一枚使った。

「ゲロみたいに沢山でとるな」
「……乙女の涙を一緒にしないでください」
「鼻水やんけ! 大してかわらんわ!」

 奈緒さんがまた一粒、ミカンを缶の上に置いた。
 私はそれをじっと眺めて、アルミ缶の上にあるミカン、と呟く。
 奈緒さんが咽せて、鼻からチューハイを吹いていた。ぼたぼたと天板にたれている。
 私達が運んだ思い出に。きたない。やめてほしい。


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