奈緒「志保、コタツはいつでも出せるんやで」
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28:名無しNIPPER[saga]
2018/01/18(木) 21:27:26.41 ID:3iKMEwHU0
「きみな……もっと言う事あるやろ……」
「拭いてください」
「もちろん拭くよ。
 ……くそっ、あんなギャグで……いやでもアミーゴいう奴やしな……」

 ぶつぶつと奈緒さんが呟きながら、ティッシュで天板を拭く。
 そして二人で同じように鼻をかんだ。目元も拭った。
 それはきっとあの時にしばしばみられた光景でもあった。いや、鼻水は違うけど。

 ふとテレビをみやると、省エネのため、電気が落ちていた。
 すぅっと息を吸い、吐いた。あの頃、ステージの裏でしていたみたいに。

「……アイドルが、みんなといることが、あんなに楽しいなんて知らなかったんです」

 初めての経験だった。
 家族以外に心を許せるなんて想像すらしていなかった私には甘露で、けれど同時に毒でもあったのだ。

「私の中にある火が消えてしまう……そう感じました。
 目的と手段が入れ替わるのが怖くなったんです。
 夢を目指すためにアイドルになったのに、居心地がいいから、なんて理由で居座れない。
 ……だから、なけなしの勇気があるうちに、私はあの場所を離れなければいけなかったんです」

 掌の中で畳まれたティッシュをじっとみつめる。
 奈緒さんからの言葉はない。顔を上げることも出来ない。


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