奈緒「志保、コタツはいつでも出せるんやで」
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25:名無しNIPPER[saga]
2018/01/18(木) 21:25:31.71 ID:3iKMEwHU0
「そうです。ちょうど寒い時期だったので、コタツに鏡を設置して、お化粧したりしてましたね」
「おー、あれ凄かったよな。四面に鏡が重なりあって、
 真ん中に置いてあるミカンとれへんくなってなぁ。あ、ミカン食べる?」
「いりません。っていうか、お酒飲みながら甘いものは食べないでしょう」
「えー、私は食べられるけどなぁ」

 奈緒さんはミカンの皮をむき始める。
 私は柿の種をつまんで、チューハイをまたごくりとあおった。

「むしろ好評すぎるくらいでしたよね。ライブやレッスンに支障が出る程度に」
「あー、本番前なのにスイッチはいらんかったり、レッスン終わった後もコタツでだらだらしてなぁ」

 からからと奈緒さんが笑う。

「たしかプロデューサーさんにばれて怒られたんよな。
 乙女の控え室だから治外法権やったけど、なぜか踏み込まれて……はっ!」

 ようやく気づいたようだった。

「もしかして、プロデューサーさんにチクったんは志保か!」
「……最近どうだ、と聞かれたときに、控え室の様子をありのまま話しただけです。他意はありませんでした」

 これは少し嘘。もうちょっと真面目にやってよ、と思っていたのは事実で、多少のお灸を期待していた。
 私だけではなかった、とは思う。どうかな。

「それを世間一般にはチクるいうねん!
 遊びに来てるんじゃないだろ、とか散々絞られたわ!
 横でエミリーが半泣きになってて、罪悪感で死にそうになってやな……
 あぁ、今でも思い出すと胸が痛くなってきた……」

 奈緒さんが胸の辺りを抑え、うらむでェ、とジト目になる。
 私もちょっぴり罪悪感がうずいた。今も昔もそれは変わらない。

「まぁ、悪かったな、とは思ったんですよ。あそこまで怒られるとは思っていなかったので。
 ……結局、コタツも撤去になりましたよね」
「そうそう。今日中に撤去しろ言われてなぁ……そしたらみんなで家まで運ぼうよ、
 って話になって、あぁ天使もいるんやなぁって……ん?」

 奈緒さんが首を捻り、私をじっと見る。

「どうも、天使です」
「悪魔やんけ! はぁぁっ、そういうことか!
 手伝いましょうか、そんな殊勝な言葉は罪悪感から生まれたんか!
 人間はホンットォに醜いわっ!」

 むき終えた皮をぺしんと天板に叩き付ける。
 一つくださいよ、と言ったら、絶対いやや、と返事が返ってきた。
 奈緒さんは本当にミカンを肴にチューハイをあおっている。


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