59: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 23:22:54.23 ID:6rZ5mY140
闇のコートのポケットにその貴重なプレゼントは残っていた。形を確認する。
六花は死んだ。文字通りに死んだ。今の六花は俺に気を遣う遠慮を知った違う六花だ。
記憶はあっても、もう中二病の異世界に対するあのドキドキした気持ちは得られない。
なら死ぬ前の六花と同じぐらいの気持ちをもう一度プロポーズして、新しい六花に、以前の六花の中二病のあのころの全部を凌駕した気持ちと融合させてしまえばいい。
もう一度、最初のプロポーズを六花にする。
60: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 23:23:38.44 ID:6rZ5mY140
深呼吸。ミスするな。今は渡すだけでいいんだ。
俺は髪を整えて、闇のコートを調節して、口の中の息を強く吐いて追い出した。
冷たい空気が染みる。この漆黒の深淵の夜空の、俺の属性に似た小さくて大きな世界の中で。
勇太「まずは渡したいものがあるんだ……。もうとっくに見ただろうけれど」
勇太「はぁ……。すぅ……」
61: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 23:24:12.24 ID:6rZ5mY140
俺は少し躊躇って、お得意の睨みつけポーズでかっこいい俺を演出する。ふっ。
でも、誰もいないのにきょろきょろ確認している。体が拒否反応して体がぼおっと熱い。
告白文は大丈夫だ。例の三行。今日のこと。そして俺の気持ち。
信頼するんだ俺を。
六花が好きなら俺も応じよう!
62: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 23:24:51.88 ID:6rZ5mY140
六花「目を閉じて」
勇太「うん」
ファーストキス。
今まで小指の重ね合わせから頬にキスまでいった。
今度は六花から愛のアプローチを迫られる。慣れているけどドキドキする。
63: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 23:25:23.71 ID:6rZ5mY140
俺は勢いのまますぐに抱いて愛を伝えて……。
互いに小さい声で嬉しく泣いた。
勇太「六花!六花!六花!!」
六花「ゆうた!ゆうた!ゆうた!」
勇太「ずっと好きだから!永遠に好きだから!」
64: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 23:25:58.34 ID:6rZ5mY140
勇太「はぁ……。いい気分だったのに……!」
六花「それにしてもさ、」
勇太「ん?」
六花「居場所見つかって嬉しい」
勇太「ははっ。ああ、そうだな。一緒だな」
65: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 23:26:41.92 ID:6rZ5mY140
その笑顔が素敵だった。
二人で握手したり抱き合ったり泣きあったり、色々あった。
二人は黙って夜空を見る。
「月が奇麗ですね」ってからかうと、「ゆうたそれ分かって言ってるの?」とバカにされた。
真っ暗な夜空に、反するように光る星。光る月。
66: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 23:27:34.87 ID:6rZ5mY140
第6話 「ラグナロク」
67: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 23:28:53.88 ID:6rZ5mY140
六花に出す声も出なかった。何が起こっているか知りたかった。その場から動いたら殺されそうだった。ケースとソードを異例事態の興奮によるバカ力で持ってきてまた崖の中心に持ってきた後、ただ呆然と立ち尽くす。
こんな音あっていいのかよ。六花の顔に振り向くとやはり彼女も不安げな顔をしていた。
自然界の音か。世界のテロか。人間の仕業か。
分からない。分からない。だから恐怖で先を見たがる。闇の先を。体が凍る。
ひゅううと前より風も強くなってきて目が開けにくくなった。
68: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 23:29:32.74 ID:6rZ5mY140
ゆっくりと、次第に激しくなって地面を揺らされる!
地面が急速に揺らされて視界がはちゃめちゃになる。立っていられなくなる。
勇太「伏せろ!」
渾身の叫びでそう言い、俺は草地に伏せて雑草の根を頼りに、強風であおる風を受けながら必死につかんだ。この現象、間違いない。
地震が来た!
69: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 23:30:13.84 ID:6rZ5mY140
やっぱり無力だったんだ……。六花を守れなかった……。俺のやってたことは無駄に等しかったんだ……。中二病はあるって思っても今闇の炎がでてなきゃ意味がないんだ!でも情けないことに立つことすらできない……。意のままに地震が消せない……。魔法は嘘だったのかよ……。所詮俺の調子に乗ったことだ。やっぱりあれは夢じゃないか……。壮大な夢だった……。六花の笑顔が見たい。邪王心眼で吹き飛ばしてほしい。ああ、こんなときだけ他力本願で……。こんなんじゃ今も未来も守り切れない……!俺は神になったって、これじゃ無力と同じじゃないか。
神。
あっ。
もしこの世界が何らかの規定事項で、全ての出来事が始まったときからすでに定まっているとしたら、俺がこの惨劇の中にいるのも誰かの仕業によるもの。それは神だ。
でもその邪悪な神は俺が神になることで消滅した。
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