67: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 23:28:53.88 ID:6rZ5mY140
六花に出す声も出なかった。何が起こっているか知りたかった。その場から動いたら殺されそうだった。ケースとソードを異例事態の興奮によるバカ力で持ってきてまた崖の中心に持ってきた後、ただ呆然と立ち尽くす。
こんな音あっていいのかよ。六花の顔に振り向くとやはり彼女も不安げな顔をしていた。
自然界の音か。世界のテロか。人間の仕業か。
分からない。分からない。だから恐怖で先を見たがる。闇の先を。体が凍る。
ひゅううと前より風も強くなってきて目が開けにくくなった。
草も木も揺れる音が大きい。
夜空はいつも星と月なのに山を見渡しても変化らしきものは見当たらない。
アンゴルモア大王か?
分からない。なぜか真っ先に出た。さっきまで平穏だったこの理不尽な音を聞いて鳥肌が止まらず寒くなってきた。
そうだ、この音どっかで聞いたことがある。何かが俺の記憶を呼んでいる。
俺とこの音が出会ったのが確かこれで2回目になる。いつ聞いた。
音……電波……電気……TV。そうだ!TVのニュースだ!
アポカリプティックサウンド。TVで特集されていたがその内容が思い出せない。
まさにTVの音とよく似ていた。同胞でしかも公的な存在を見つけて笑顔が少し出る。でも死への恐怖を感じているのは変わらない。
仏教徒のような音が響き渡る。山中に。
この後この異変を感じて誰かツイッターにアップするだろうか。こんなでかい音俺達だけが気づいて皆は気づかないなんておかしい。でも生きて帰れるだろうか。
その音の響きが徐々に収まってくる。風もだんだん収まってくる。
内心嬉しさと次に来る不安で感情が揺れていた。
風を除いて本当に山にこだました仏教の謎の音だけはなくなった。
巨大な振動。一回一回の音が長く全部で7回は鳴ったと思う。
なんのせいだろう。六花と俺は互いに存在を確認し合った後話すことすらできず、心で帰ろうと指示をした。
そのとき風当たりが強いと思った。ひゅううという音が急に増してきたと思う。
真に受けて目がかすむ。目を拭う。
深淵の先を見ても先程と変わらぬ景色で、雨雲らしいものすらない。
そこから急に風が吹いている。しかもだんだん強くなってきている。分からない。分からない!
耳の中で風のゴゴゴという強風限定だったはずの音が聞こえている。かなり強くなっている!闇のコートが揺れに揺れている。このまま強くなれば飛んでいきそうだ。六花を見るとゴスリボンが激しく揺れる。六花の顔も腕でガードしているためこちらを見てくれないし、合図すら困難だ。
とうとう強風になってきた。ケースとソードが俺の足元から微量に動くのを確認した。呼吸するのが息苦しい。立っていられなくなりそうだ。
風を腕で必死に守る。まるで11月なのに台風みたいだ。こんなの天気予報ですら聞いていない!
ゴゴゴッという音がまたまた耳の中に響いた。
しかし前回と違い、これはまるで地球自身が揺らされているようだ。
えっ……。
なにこれ……?
何かが起こる。
何かが
くる!
揺れた!
地震だ!
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