六花「勇太をなんとしてでも独占したい!」
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16: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 22:54:08.46 ID:6rZ5mY140
勇太「休みましょう!お願いだから休ませてください!」
と嘆願すると、六花は俺に一回振り向くと無言になり前を見て「ドームがあるー!!」って言った。
いやだああああああああああああああああああああああ!!!!
俺は痛んだ腕をぷらんぷらんさせて痛みを11月の風で冷やしつつ、3歳児並みに頭と体力の等しい六花の元に行くが、何やら身構える体制になり後ろに回る。
勇太「ドームにさっさと入れよ」
以下略 AAS



17: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 22:55:05.53 ID:6rZ5mY140
六花はその成功したドヤ顔を見せると、再びドームの前に向き、何事もなかったかのようにゆっくりと暗黒の中に入っていく。
愛が、憎しみが、憎悪に変わるってことはこういうことか。ああ、そうなのか。
序列を成す歩き方の六花が一歩二歩、足跡を構築していく。俺はその序列に逆らい、しかし彼女に存在を気付かれないよう静かにその影の最短まで足をのばす。
彼女は一瞬振り向く、それが殺傷の合図だった。
俺は段々侵食していく影の実在へと猛烈に駆け寄り六花の横腹に触る。彼女の抵抗より早く爪の先を肌色に並べ、憎い脂肪を内臓までえぐり音階をつくる。
以下略 AAS



18: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 22:55:34.43 ID:6rZ5mY140
何にも考えられなくなって無為に時間が過ぎ六花の名前すら思い出せなくなるほど頭がはたらかないのがいい。考えないってほんと最高。
六花「ゆうた」
勇太「ん、なに?」
六花「ゆうたに言わなきゃいけないことがあるの」
勇太「ん?」
以下略 AAS



19: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 22:56:04.06 ID:6rZ5mY140
その後展開はあらず再度無言になった俺たちは、二人で空を見上げ綺麗だね……と言葉を失った後、ふと腹に激痛が走る。胃の中に硬い縄で限界まで引き締められる痛む俺の腹は食物を欲していたのだ。ようやく出番だな。俺はバッグから弁当箱を持ち出した。
勇太「そろそろお昼にしないか」
六花「なにそれなにそれー!」
今日のこの日のために昨日時間を合間縫って作った最高級愛情弁当だ。樟葉の料理の終わりを見かねてキッチンに入り愛と蒸気で汗を流しつつ早急に仕上げたご飯おかずの二段重ねの特製品。なんとタコさんウインナー付きなのだ!金色を反射し持つと震えるいかにも柔らかそうな卵焼きに六花は驚いたようだ。早速六花は俺が弁当を置く前に箸を持つ。
六花と俺の膝の隙に弁当を置くと二人で青い箸とピンクの箸の二種類で持って弁当を食べる。と言いたいところだが俺が肉団子を頬張り感触を味わうと、なんだか六花はそうじゃないようで。地面を見つめ眉を垂らし先ほど弁当を見せた際の腕の高ぶりも静かに落ちていた。なんとか繋ぎ止めたいと六花の横顔を明るく見つめている。
以下略 AAS



20: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 22:56:41.31 ID:6rZ5mY140
六花「タコさんウインナー。罪状、ウインナーなのにタコの形に擬態していたため。死刑」
六花「ウサギさんりんご。罪状、プリーステスの弁当を思い出せた。あとかわいすぎて食べるのが憎い。よって死刑」
勇太「ただでさえ食べられるのに罪着せるのひどくない!!?」
六花「ゆうた。死刑」
勇太「うわあ、巻き込まれた!!!」
以下略 AAS



21: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 22:57:20.19 ID:6rZ5mY140
はぁなんで俺がいないとできないのか、つまり二人で周りをグールグル走れってことだろ。俺は加速要員ってことで。じゃあいっそのこと手を繋いで走った方が早いんじゃね?重力を負荷したいんだろ?でも、何度もデート中手を繋いだことのある俺でも、やっぱり最初は勇気のないシャイボーイだ。さっき繋ぎ損ねたしなかなか言い出すにも臆病である。それに人の手を触るだなんてエロスケベ変態の烙印を押されるなんてごめんだ!学校で復讐に愚痴を吐かれかねない。でも、六花なら、ひょっとしたら俺のことを受け入れてくれるはず。手の先を六花まで伸ばして、そして柔らかく小さな手にぷるんっと当たった。六花が目を丸くし急に俺に目線を送るので、慌てて戻ろうと思った。矢先その手は優しく俺を包んでくれた。俗にいう、恋人つなぎってやつ?はぁ。なんだ結局杞憂じゃないか。六花は顔の火照った表情になり俺もつられて笑顔になった。恥ずかしいのか顔を反らされた。
六花「……エッチ!」
顔はわからないがぶん殴りたくなった!こらー!!!人の気になることを!!!
俺は潔白の男の子だし!お前変な顔になってたら絶対に許さないからな!
六花「いこう!手を繋いだら速度は2倍ってパーマンが!できたら恐竜に会いたい!」
以下略 AAS



22: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 22:57:46.63 ID:6rZ5mY140
「ゆうた?ゆうた!」の遠くから強くなる掛け声でここに戻される。心配そうに眉をひそめて大丈夫?って声のトーンを落とされ、どうやら偽りの仮面を見破られ本気で心配しているその顔に気付いた。驚いた俺は何とか楽しいデートを繋ごうと声を高く大丈夫だよっ!と六花に明るくつき返す。さて行こうかとこの顔を反らし二人で手を繋いで公園から出ると、次何しようかと思い次の目的地を歩いて探求する。本屋行こうかな、それとも河原か?
あれこれ場所が浮かんでくる。ん?手を繋ぐ感触がない、あれ?六花がいない。気が付いたら公園の出口のところに座っていた。
勇太「おい何やってんだ!車に轢かれるぞ!」
六花「疲れたー!」
勇太「俺だって疲れたよ!」
以下略 AAS



23: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 22:58:12.89 ID:6rZ5mY140
そして河原の草原中央までついた俺は、ほら降りろと促してもカメムシのマネって言ってくるリッカスを下敷きに俺の両手両足を草地に伸ばして大の字になり「い、いたい、痛い!」の楽しい声を鑑賞した。俺の背中を殴るように動き出た六花は、目の前の河原の草原に走って満足している。安らかな青空、ああ背中が癒される。時計を見ると時刻は4時30分のそろそろ夕刻を指している。小学生らしき身長の子供が遠くの方で遊んでいるのを音で聞く。そよ風が気持ちいい、とくに背中に六花を乗せたので汗びっしょりだ。何もなく静かで何にも感じない世界。そのとき弁当の時の静かすぎる暗闇を思い出す。あれはなんだったんだろう?なぜ六花はあんなことに?普通じゃないのに普通だと思う謎の理由は?まあそのうち忘れるだろう。でも、ほんとにそれでいいのか……?
ん?そういえば六花は今どこにいるんだ?と、振り向くと車道の近くの草原に触って何かやっているらしい。
勇太「おーーーい!危ないぞ!!」
俺が手を振ると六花は手を振り返してくる。そういう意味じゃないっての!すぐに戻ってきた。六花は、横たわっている俺の腹を片手で上からかざすように回している。
勇太「なにやってんだ?」
以下略 AAS



24: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 22:59:13.10 ID:6rZ5mY140
第3話 「恋の時限爆弾(神はあなたを助けない)」

気が付いたら夕陽が差し掛かる。太陽の天下も下り坂。あれだけ青かった空も威厳をなくして、世界がオレンジと黄金に近い色に染まり光の届かない位置にはうっすら影を落としている。しかし空の色はまだ水色で、その金色と水色が混じったこの町は自家製ダイヤモンドのじっと見たくなる暖かい輝きを放っていた。鳥の群れも1,2羽電線に止まり、気象の変化に仲間を呼ぶ鳴き声もまばらに聞こえる。髪をなびかせる風も、六花に気に掛けるぐらい11月の冬らしい寒さで、風も少し強くなったと断言できる。バタバタいわせる俺たちの服の羽ばたきで勢いを感じた。棒立ちする六花のゴススカートも前より大きく風に流されていてうっとおしいのか細く白い手で抑えていた。この町の活気ももうすぐだ。オレンジ色の引導でできた道を見渡せば犬の散歩連れや走るランナーが昼間よりは多く見かけるようになったように思える。その生命の力を示す太陽に照らされて、六花の横顔は金色に見えて、特に可愛らしい高い鼻のてっぺんがオレンジ一点に反射していて、頬は暗く大人に映る。六花のその美しく輝く宝石をどんな存在よりも見ていたいと思った。それも永遠に。これが本番の告白前の最後の、六花とデートしたときの最後の姿だと思うと胸がキュって苦しくなる。でもこれでいいんだ。俺は前に進みたい。そう決心したんだ。
ふう。と気を込める。緊張で心臓の高鳴る音が止まらない。いよいよ本番で、今夜が最後。時間って思ったより早いもんだなといまさら悟る。だが振り返るほど後悔はない。
このデートもあと少しで終息を決める。そしてその決断者は俺だ。
以下略 AAS



25: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 23:00:00.42 ID:6rZ5mY140
六花「……」
勇太「ん?何バカなこと言ってるんだよ。いつも楽しいに決まっているじゃんか」
六花「……」
勇太「……」
六花「……」
以下略 AAS



26: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 23:00:33.04 ID:6rZ5mY140
えっ……!?
衝撃が走る。地に弾けた一滴の涙に心が壊れる。
俺の呼吸は止まり、歓喜は死に、頭の流れも白色に凍結し、血脈の流れる妄想が頭の中に駆け巡る。
なんだよ。何が言いたいんだよ。
聞いてはいけないものを聞いている。明らかに。
以下略 AAS



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