21: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 22:57:20.19 ID:6rZ5mY140
はぁなんで俺がいないとできないのか、つまり二人で周りをグールグル走れってことだろ。俺は加速要員ってことで。じゃあいっそのこと手を繋いで走った方が早いんじゃね?重力を負荷したいんだろ?でも、何度もデート中手を繋いだことのある俺でも、やっぱり最初は勇気のないシャイボーイだ。さっき繋ぎ損ねたしなかなか言い出すにも臆病である。それに人の手を触るだなんてエロスケベ変態の烙印を押されるなんてごめんだ!学校で復讐に愚痴を吐かれかねない。でも、六花なら、ひょっとしたら俺のことを受け入れてくれるはず。手の先を六花まで伸ばして、そして柔らかく小さな手にぷるんっと当たった。六花が目を丸くし急に俺に目線を送るので、慌てて戻ろうと思った。矢先その手は優しく俺を包んでくれた。俗にいう、恋人つなぎってやつ?はぁ。なんだ結局杞憂じゃないか。六花は顔の火照った表情になり俺もつられて笑顔になった。恥ずかしいのか顔を反らされた。
六花「……エッチ!」
顔はわからないがぶん殴りたくなった!こらー!!!人の気になることを!!!
俺は潔白の男の子だし!お前変な顔になってたら絶対に許さないからな!
六花「いこう!手を繋いだら速度は2倍ってパーマンが!できたら恐竜に会いたい!」
ツッコむこと暇なく腕を引っ張られスタートした。砂の広場の中で一緒に回転し初めてでどうすればいいか分からず手がふらついて体ごと引っ張り引っ張られたが、2週目になると二人の距離が分かって同じ速度で走り同じタイミングで旋回し、それはタカを超え疾風の颯と化した。走った広場の足元の砂が空に舞いこんで小さく竜巻ができている。二人の熱い絆は風の厚い障害を容赦なく斬り裂き、重力の中心でもあるため徐々に重くなっているのが一目散に感じられた。
六花「大二宇宙速度展開!たああああ!」
見えるぞ見えるぞ……!歩行者の速度もまるで動いていないように感じ、重力で体ごと手の中に引っ張られる、光速限定の状態が!これ本当に四次元にいけるんじゃないのか!?
そんな、うそだろ!!!
回れ!回れ!回れ!何度も!何度も!何度も!
旋回の飛行機のごとく!光に!いける過去の世界へ!
おええ……。
タンマ!と精を込めて地面に指標を放ち、地面に映像が流動しているように今度は目が旋回している。
六花「おええ……」
お前もじゃねえか…..。なんで止めなかった。進むんじゃねえぞこれ……!?三半規管の器官の弱点の一致に同胞感を感じるがそんなの嬉しくない。
他人に見られたら即通報されるだろう。広場で二人の死体が静かに遺っている。俺の体が限界を超えて砂地に大の字でうつ伏せになっているが、六花も声がしないので無事に死んだらしい。
しばらくっていつを意味しているのか分からない。イエスキリストもびっくりの再生劇を起こし奇跡的に体調を取り戻した。俺は六花のゴス衣装の服についた砂をパンパンと取り払い六花の身長がシャキーンと伸びたのを見て、凝りて早くこの公園から出ようと決心する。
誰にも遊ばれず孤独にあるただ静かに目の前にいるすべり台やお砂場が無性に気になる。公園か……。無人の遊具を見ると懐かしいな。幼稚園児のとき園児服を着てよくすべり台や砂場でお山を掘ってトンネルを開発したっけ。あの時は良かったな。幸せな記憶がするんだから幸せだったんだろう。皆とよく遊んだなあ。それがいつもいつも楽しかった。でも小学生一年生になったとき皆でまたやろうかと思ったらドッジボールで遊ぶ人が大半で、砂場はいつも空気だった。皆いつも遊んでいたはずなのに、気づけば俺一人だけスコップで掘って。あまりに静かに1つ1つ掘って公園に響き渡る音が虚しくて自分も離れてしまった。それ以来もうやっていない。でも好きだと言える趣味もなかった。
それが小学4年生に響いた。俺はクラスメイトに話しかけられ、TVで見ていると言えばなに聞かれた。初めてだった。友達は一応いたが本音を言う仲ではなかったので普段一人で何かしていた。そんな俺にとってこの質問は天の輝きに見えた。俺はアンパンマンやドラえもんを見てるよと単純な発想で、もしやこの話を契機に友達が手に入るんだと心の底では期待したかもしれない。あの人たちの訪ねた真意のその期待と真逆の透かした答えだったのは今の俺からならわかる。いい返事はなかった。次にモンハンとかFFやってない?って言われるのに首を横に振ると、ああそうなんだと軽く微笑を出された後その人たちは友達のところに行ってしまった。正直、ショックだった。俺はまた一人になったことを再認識しさせられた。俺の見るものってそこで感じたもの含めて全部、実は間違いじゃないかって一人白い閉鎖空間に閉ざされた。自分が自分に対する罰。俺の知っていることは皆にとっての役立たずの前提知識。幼稚園児の見るアニメ系ばっかりの低次元のギャグで笑う自分が嫌になった。なんで俺は皆より価値観低いんだ。俺ってそんなにバカなのかよ。俺お前たちになんの悪いことしてないのに、なんで遠くに行っちゃうんだよ。少しは他のことにわいわい楽しんで気にかけてくれてもいいじゃないか。卒業ってなんだよそんなものあるわけがない。なんで幼稚園児が見てて良いのに俺が見ると悪いんだ?高年生対象に難病にでも降りかかるものなのか?あの人達が悪意なくて話しかけてくれたのは知っててうれしいと思った。でもなんか違うんだ。それだけで離れるなんて聞いてないよ。俺の知っている友達の定義と違う。俺は流行遅れの異端派の烙印を押され、趣味界の除け者にされた。流行に乗ればクラスの人気者になり賞賛され、流行に乗らなければ友達になる昇格すらない。無知なる人に自己責任と称し、愛の知を共有しない。おおらかな心を持つ人間は死んでしまった。いやもしくはそれは言語界の生み出した宇宙最初期から存在しない幻だったのかもしれない。最果ての結末、孤高の静寂の檻。その檻の製造主は彼ら。大人になったらゴルフだとかパチンコや芸能に趣味が走る大人って変だけど、どうしてそうなるのか分かってしまった。このときだ、この人たち普通人が狂ってるって思ったときは。でも別にモンハンもFFもやってみたら楽しかったよ。ずっとシリーズ買ってるし買う契機にはなったよ。
でもな、でもな、
どうして人は年を取るたびに狂っていくんだろうって思うんだ。
ずっと一人で遊んでいた。誰かが好きを分かってくれるって甘えた頃もあった。
もうあの楽しみをわかってはくれない。
わかる方が異端なんだ。
スコップも思い出も、全ておもちゃの中の宝箱にしまって。
そんな思い出封印してしまえ。
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