43: ◆JDH1DmZBjFQa[saga]
2017/12/15(金) 20:46:36.12 ID:TXSil8FD0
志希「自分を殺してまで他人に成り切ろうとする必要なんてない。フレちゃんらしさなんてフレちゃんにしかわからないんだもん」
「いまさらそんなことを言われても遅いんだ。もう戻ってこれないところまで来ちゃったんだもん。だからアタシは自分の運命を受け入れた」
44: ◆JDH1DmZBjFQa[saga]
2017/12/15(金) 20:48:04.02 ID:TXSil8FD0
志希「フレちゃんはね、内面に働きかけたんじゃなくて外側に訴えかけたんだよ」
「一体、どうやって!」
志希「飛鳥ちゃんは、フレちゃんの体で飛鳥ちゃんの服を着て外に歩こうと考えた?」
45: ◆JDH1DmZBjFQa[saga]
2017/12/15(金) 20:49:08.34 ID:TXSil8FD0
その言葉を聞いた志希は頬を緩ませながら答えた。
志希「おかえり。飛鳥ちゃん」
46: ◆JDH1DmZBjFQa[saga]
2017/12/15(金) 20:50:28.33 ID:TXSil8FD0
志希「はぁ〜満足満足♪」
志希は両手の力を緩め、抱きしめるのをやめた。
47: ◆JDH1DmZBjFQa[saga]
2017/12/15(金) 20:52:12.76 ID:TXSil8FD0
【ライブステージ会場内スタッフ通路】
勢いでつい来てしまったけど大丈夫だろうか。特に通用口の警備員。容易に通してはくれないだろう。
48: ◆JDH1DmZBjFQa[saga]
2017/12/15(金) 20:53:55.85 ID:TXSil8FD0
【二宮飛鳥の楽屋前】
遂にここまで辿り着いた。ここからが正念場だ。
49: ◆JDH1DmZBjFQa[saga]
2017/12/15(金) 20:54:28.44 ID:TXSil8FD0
二宮飛鳥「……! ということはいずれはキミも!」
フレデリカ(飛鳥)「まぁそうなるだろうね」
二宮飛鳥「だからその前にレゾン・デートル(存在理由)を定義づけようという訳か。それは理解る」
50: ◆JDH1DmZBjFQa[saga]
2017/12/15(金) 20:55:37.87 ID:TXSil8FD0
【ライブステージ舞台袖】
舞台袖の下手側から二宮飛鳥のライブの様相をただ見守る。ボクの出番はまだもう少し後だ。
彼女は歌唱もパフォーマンスも完璧な二宮飛鳥だった。
51: ◆JDH1DmZBjFQa[saga]
2017/12/15(金) 20:56:23.82 ID:TXSil8FD0
そうしてまもなくステージ全体の照明が落とされ、青色のサイリウムだけが揺れる。
刹那にも永久にも感じられた静寂の後、エレキギターの音が静かになり始めた。
大型スピーカーから音の波が体をうちつけ、照明が一斉にボクを照らす。
聴き覚えのある、『共鳴世界の存在論』の始まり方。
52: ◆JDH1DmZBjFQa[saga]
2017/12/15(金) 20:57:24.60 ID:TXSil8FD0
1番の余韻を残したまま間奏に入る。
いつのまにか数多の瞳がボクを驚きに満ちた目線で捉えていた。
観客はこのハスキーボイスで彩られた宮本フレデリカを見てなにを思うだろうか。
慌ただしく空間を切り裂くスポットライトはやけに明るい。
53: ◆JDH1DmZBjFQa[saga]
2017/12/15(金) 20:58:23.84 ID:TXSil8FD0
フレデリカの見た景色は何色か。そんなことは、ボクに知る由もない。なぜならボクはフレデリカではないからだ。彼女にしか分からないだろう。
だけど、もしかしたら。
今、ボクが見ている景色と似ているのかもしれないね。
60Res/93.16 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20