49: ◆JDH1DmZBjFQa[saga]
2017/12/15(金) 20:54:28.44 ID:TXSil8FD0
二宮飛鳥「……! ということはいずれはキミも!」
フレデリカ(飛鳥)「まぁそうなるだろうね」
二宮飛鳥「だからその前にレゾン・デートル(存在理由)を定義づけようという訳か。それは理解る」
理解してるといいつつも、二宮飛鳥が持つ疑惑は晴れていないようだった。
二宮飛鳥「……だが、ボクにはキミがフレデリカに染まっているようには見えないぞ」
フレデリカ(飛鳥)「これは演技さ。正直な所、この話し方だって意識しないとできないんだ。気を抜いたら思考回路の中でも一人称が『アタシ』になってしまう。それに、好みだった筈の片仮名言葉も随分と忘れてしまったみたいでね」
二宮飛鳥「アーカイブスがオーバーライドされている……だと。そんな馬鹿な!」
フレデリカ(飛鳥)「ブリオッシュ、フィナンシェ、オランジェット……フランス菓子の名前ならいくらでも言えるのにね。ボクの人格がフレデリカの体に飲み込まれてしまうのも最早時間の問題だろう」
二宮飛鳥「なんとかならないのか。そうだ、ボクだったら抵抗する! ……方法はまだ思いつかないけど」
フレデリカ(飛鳥)「この現象は時間が過ぎるにつれて進行している。どうやったって食い止めることはできないさ」
二宮飛鳥「だとするともうそこには絶対的な虚無、セカイに抗えない運命しか残されていないのか……?」
フレデリカ(飛鳥)「だけどフレデリカは。例え自分を卑下する悲観主義者になってしまっても……笑顔を続けた。最後までね」
二宮飛鳥「フレデリカが……」
フレデリカ(飛鳥)「だから、ボクも全てがなくなってしまうその前に。この大きな世界の片隅で、ボクという人間が存在していたという魂の証明を!」
フレデリカ(飛鳥)「ボクは、残したいんだっ……!」
ボクの話を聞いた二宮飛鳥は目を瞑ったまま何かを考えている。
しばらくした後、くるりと背を向け、イスに座って肘をついた。
二宮飛鳥「負けたよ。キミの魂にね」
二宮飛鳥「どうやら今回のボクは主役ではないみたいだ。リベレーター《解放者》、或いはシンパサイザー《共鳴者》といった処だな……」
彼女は右腕で頬付きをしながらうんうんと頷いた。
二宮飛鳥「一曲だけだよ。いいね?」
フレデリカ(飛鳥)「……ああ! ありがとう!」
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