「藤原肇がそれを割る日」
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32:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 20:35:03.12 ID:pXJ6Ifkk0
 焼き物は、ろくろで成型する場合、その多くが左右対称の形状をとります。

 お茶碗もお皿も湯呑みも、決まった向きが無い方が使いやすいというのもあるかも知れません。

 特に備前焼は、日常生活の中で長く使われるうちに人の手に馴染み、深みが出る陶器でもあります。
以下略 AAS



33:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 20:37:26.22 ID:pXJ6Ifkk0
 私が、花瓶の口を篦でグイッと歪ませた時、夕美さんが小さく声を上げたのが聞こえました。



「…………終わり、です」
以下略 AAS



34:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 20:40:53.88 ID:pXJ6Ifkk0
「………………」

 成型を終えたものを、おじいちゃんが厳しい表情で目利きします。

 この時間が一番、苦手です。
以下略 AAS



35:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 20:42:47.49 ID:pXJ6Ifkk0
 おじいちゃんは、冒険心にも似た私の思いを感じ取ってくれました。

 厳しい言葉も、裏を返せば、精進さえすれば良いものになるという評価の現れです。

「はい」
以下略 AAS



36:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 20:46:35.23 ID:pXJ6Ifkk0
 その日から、私と夕美さんは、定期的にお互いの家を行き来するようになりました。

 私が夕美さんに生け花を教えてもらい、夕美さんは私の実家に同行してくれます。

 無理しなくて良いですよと言っても、夕美さんは鼻息を荒くして岡山まで来てくれるのです。
以下略 AAS



37:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 20:50:14.78 ID:pXJ6Ifkk0
 そして――。


「夕美、肇……すごかったぞ。お前ら、あんなライブパフォーマンスいつの間に覚えたんだ?」

以下略 AAS



38:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 20:52:42.07 ID:pXJ6Ifkk0
 目に見えて表現力を身につけている理由をはぐらかす私達に、Pさんは憤慨してみせます。

 でも、やっぱり目は笑っていました。

「グラビアの仕事も増やしていこうと思うんだけど、今の二人なら問題無いよな?」
以下略 AAS



39:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 21:02:30.23 ID:pXJ6Ifkk0
「クリスマスパーティー用にさ、キャンドルアレンジも作ろうよ」

 そう言って、夕美さんは自宅のパソコンの画面を私に向けました。

 なるほど、蝋燭の周りを花で囲むのですね。
以下略 AAS



40:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 21:04:30.59 ID:pXJ6Ifkk0
「でも、外に置いてある子達は、出る前に中に入れとかないと……もう入れちゃおうかな」
「手伝いますよ」
「結構重たいよ?」
「これでも力持ちなんです」

以下略 AAS



41:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 21:07:58.57 ID:pXJ6Ifkk0
 私の寮部屋は、夕美さんの家よりも狭いですし、テーブルも小さいですが、皆さんが座れないほどでもありません。

 それに、同じ寮住まいで同郷の瑛梨華ちゃんや、お世話になった志希さん、フレデリカさん等、参加予定の人達にとって集まりやすい場所でもあります。

「さっすが肇ちゃん!」
以下略 AAS



42:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 21:11:57.38 ID:pXJ6Ifkk0
「いつ捨てようかなって、ずーっと思ってはいるんだけどね」

 夕美さんは、そう言って苦笑してみせます。

「安物だったし、壊れちゃってるし、捨てちゃっても構わないんだけどさ。
以下略 AAS



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