「藤原肇がそれを割る日」
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36:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 20:46:35.23 ID:pXJ6Ifkk0
 その日から、私と夕美さんは、定期的にお互いの家を行き来するようになりました。

 私が夕美さんに生け花を教えてもらい、夕美さんは私の実家に同行してくれます。

 無理しなくて良いですよと言っても、夕美さんは鼻息を荒くして岡山まで来てくれるのです。

“フラアレ神経”がモリモリ刺激されるのだ、とのことです。


 夕美さんの生け花は、私の作品にもすごく良い影響を与えてくれます。

 おじいちゃんも、表現力が豊かになったと、珍しく褒めてくれました。

 一方で、「独りよがりになりつつある」と厳しく戒めることもあるので、慢心は許されません。


 おじいちゃんは、夕美さんの陶芸も、その腕前を褒めます。

「技巧は無いが、雑味も無い。素直で良い筋だ」

「雑味が無い、って、何だかお酒みたいですね。飲んだことないですけど」

 そう夕美さんが笑うと、おじいちゃんも笑いました。めったに無いことです。

 弟子にならんかと、おじいちゃんはどこまで本気なのか分かりません。



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